変電所火災で大混乱した英国が「ロシアの陰謀」警戒、ポーランド首相は昨年の商業施設火災を露特殊部隊の仕業と断定

(国際ジャーナリスト・木村正人) ■ 「発電所を標的にするのは露GRUの常套手段」 [ロンドン発]今年3月以降、英国各地の変電所で不審な火災が7件も相次いでいることが英紙デーリー・メール(電子版5月13日付)のまとめで分かった。この中には乗客30万人に影響を及ぼしたロンドン・ヒースロー空港近くの変電所火災(3月20日)も含まれている。 元英軍情報機関将校フィリップ・イングラム大佐は同紙に「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領率いる軍参謀本部情報総局(GRU)が主要インフラへの攻撃で様子をうかがっている可能性を排除できない。発電所を標的にするのはGRUの常套手段」との見方を示している。 ヒースロー空港近くの変電所火災では6万7000世帯以上が停電、150世帯が避難した上、空港への電力供給も止まり1300便以上が欠航するカオスに陥った。ロンドン警視庁はテロの可能性も含め捜査し、一時はロシアの関与も懸念されたが「事件性なし」と判断された。 サッチャー革命以来、英国の電気、ガス、通信、水道網、港湾や空港の民営化が進められ、民間企業の手に委ねられている。空港近くの変電所火災は、民間所有の割合が極めて高い英国の重要インフラについて政府が監督する重要性を改めて浮き彫りにした。

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