佐野海舟が森保ジャパン復帰 日本代表発表会見で明かされた3つの選出理由

日本サッカー協会は23日、既に出場権を獲得している26年北中米W杯のアジア最終予選、アウェー・オーストラリア戦(6月5日)、ホームのインドネシア戦(同10日)に臨む日本代表メンバー27人を発表した。昨年7月に不同意性交容疑で逮捕され、のちに不起訴処分となったMF佐野海舟(24)=マインツ=が昨年3月のアジア2次予選・北朝鮮戦以来の代表復帰となった。森保一監督(56)は初選出7人を含め、3月から14人の大幅なメンバー入れ替えを敢行し、1年後のW杯本大会へ戦力底上げを見据えた。 佐野海が約1年2か月ぶりに日の丸を背負うことになった。昨夏に不同意性交容疑で逮捕され、後に不起訴処分に。今季はドイツ1部マインツで全34試合に先発し、ボール奪取など高いパフォーマンスを示していた。会見で山本昌邦ナショナルチームダイレクター(67)は神妙な面持ちで選出について〈1〉佐野が被害者に謝罪し、被害者との話し合いが済んだ〈2〉本人が深く反省している〈3〉不起訴になり刑事事件として罪に問われず終了した―の三つを挙げた。 佐野海は所属事務所を通じ、今回の選出に「本当にうれしく思います。全力で頑張ります」とした上で「いろいろな人にご迷惑をかけてしまった事、大変申し訳ございませんでした。今後も自分のできる社会貢献活動などを継続させていただき、日々努力していきたいと思います」などとコメントした。 2月に直接視察を行った森保監督は「言動を見ても深く反省していると強く感じた。チームの一員を“家族”と考えた時、ミスを犯した選手をそのまま社会から葬り去るのか。再チャレンジする道を与えることがいいのでは」と語った。 今回、弟の航大(21)も同時選出された。指揮官は「海舟は強度が高い中でボールを奪い取る能力に磨きがかかっている。攻撃につなげてくれる意味で代表でも生かしてほしい」と、屈強な海外選手に当たり負けしないフィジカル能力を評価。今季ドイツ1部全選手でトップの総走行距離393・7キロを記録するなど、期待は大きい。 日本代表のボランチは主将のMF遠藤、今回選出されなかった守田英正、田中碧が主力だが、相手をつぶせるタイプの遠藤不在時にチームの守備力が落ちることも課題となっていた。そこで佐野海の存在が際立つ。1年後のW杯本大会で、未踏の8強、その先の世界一へ。欠けていたパズルのピースを埋め、底上げを目指す。(岩原 正幸) ◆佐野 海舟(さの・かいしゅう)2000年12月30日、岡山・津山市生まれ。24歳。米子北高から19年に町田加入、23年に鹿島入り。24年7月にドイツ1部マインツ加入。今季は全34試合に出場。23年11月のW杯アジア2次予選ミャンマー戦でA代表デビュー。「海舟」は江戸時代の幕臣・勝海舟に由来。J1通算47試合1得点、A代表通算4試合0得点。176センチ、67キロ。右利き。 ◆日本代表の兄弟同時選出 佐野兄弟の選出は、2006年8月16日のアジア杯予選イエメン戦での佐藤勇人・寿人以来。2人は同戦でともに途中出場し、日本代表初の双子選手同時出場を果たした。兄・勇人はこの試合が唯一のA代表出場試合となった。過去には三浦泰年・知良の三浦兄弟も同時出場経験がある。柱谷幸一・哲二兄弟も有名だが、代表での同時選出は1度もなかった。

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