浜松の特養工事で贈収賄疑い 社会福祉法人元理事ら2人逮捕 落札の便宜見返りに275万円

浜松市中央区の社会福祉法人「和光会」が発注する施設工事で、指定業者が落札できる取り計らいを了承した上で現金275万円を受け取ったとして、静岡県警捜査2課と浜松中央、浜松西両署は18日、社会福祉法違反の収賄容疑で、和光会の業務執行(専務)理事を務めていた契約社員の男(47)=浜松市中央区葵西5丁目=を逮捕した。現金を提供したとして同法違反の贈賄容疑で、建築設備工事の企画・設計・施工などを担う浜松市内の「elemate(エレメイト)」代表取締役の男(48)=同市浜名区染地台2丁目=を逮捕した。 元理事の逮捕容疑は2023年9月下旬から10月上旬までの間、和光会が運営する特別養護老人ホーム(特養)の朝霧の園における工事の指名競争入札で、代表取締役が指定する業者を指名するなどし、エレメイトが落札できるよう取り計らいを受けたい旨の請託を了承した上、12月4日、謝礼の趣旨と知りながら、現金275万円を収受した疑い。代表取締役の逮捕容疑は元理事に275万円を供与した疑い。 捜査2課によると、特養の工事は、新型コロナウイルスの感染防止対策で同11月上旬までに行われたパーティション工事。県の補助金事業でもあった。入札にはエレメイトを含めた3社が参加し、エレメイトが最低価格となる1200万円(税抜き)で受注した。275万円は同12月4日、エレメイトの会社口座から、元理事の個人名義の口座に振り込まれていたという。 エレメイトが和光会から受注した工事は十数万円~1千万円単位までで複数件確認され、今回の受注以降にも実績があるという。 元理事は00年以降、和光会の職員として勤務し、22年9月に理事就任。法人ナンバー2の専務理事として、理事長である兄を支える立場だったとされる。25年5月に退職した。事件の判明などを受けた対応だったとみられる。 社会福祉法人の理事は公務員でないため刑法の贈収賄罪は適用されないが、公益性を踏まえて16年に社会福祉法が改正され、贈収賄に関する罰則規定が新設された。社会福祉法違反(贈収賄)での摘発は、24年に社会福祉法人誠心会(静岡市清水区)を舞台にした事件に次ぎ県内2例目。誠心会の元理事長だった医師の男が収賄容疑で、医師の後任として理事長に就いた元団体役員の男と元団体職員の男がともに贈賄容疑などで逮捕され、いずれも有罪判決が確定している。

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