「まちの電器屋さん」お手柄 なじみ客宅で「受け子」で撃退、詐欺被害防ぐ 姫路署が署長感謝状

独居の80代女性宅から逃走した特殊詐欺の「受け子」を追って逮捕に貢献したとして、兵庫県警姫路署は、同県姫路市の石田喜久さん(75)と長男の雅大(まさひろ)さん(47)に署長感謝状を贈った。女性は石田さん親子が経営する電器店の得意客で、数十年来の顔なじみ。地域密着の「まちの電器屋さん」が被害を未然に防いだ。(真鍋 愛) 5月11日夕、石田さんは民生委員の妻から「(女性宅に)何度電話しても話し中になっている。様子を見てきて」と頼まれ、近所の女性宅へ赴いた。玄関から中をうかがうと、女性は「警察と電話している」と言い、ジェスチャーで「帰って」と石田さんに伝えてきた。 電話相手は来訪者に感づき、女性に「誰か来てますか」と探りを入れた。石田さんは女性に「電話を切って」と身ぶりで伝えるが、女性は相手を信じ切っている様子で通話を続けた。 「おかしい」と感じた石田さんは、女性宅付近で待機。妻に「詐欺かも」と電話し、雅大さんを呼んだ。しばらくすると、不審な男が女性宅に入っていった。「おい!」。大声を出すと、男は走って逃げ出した。 女性宅へ向かっていた雅大さんは父の叫び声を聞き、合流するやいなや男を追い始めた。全力疾走するのは久しぶり。「逃げられるかも」と思ったが、男は女性宅から数百メートル先の路地で失速した。雅大さんは機を逃さず、男のリュックをつかんで取り押さえた。 「なんで逃げんねん」と尋ねると、男は「訪問販売で来た」「会社の方針で社名は言えない」「名刺はない」などと支離滅裂な言葉を並べた。通報を受けた署員が到着すると男は「受け子で来た」と認め、窃盗未遂容疑で現行犯逮捕された。リュックには女性のキャッシュカードとすり替えるためとみられる、トランプと封筒が入っていた。 感謝状を受けた石田さんは「電器屋は家の中まで入り、作業をする機会が多い。お客さんの変化に気付けるよう、目配りを心がけたい」とほほ笑む。雅大さんは「防犯もまちの電器屋の使命と感じた。啓発も含め、これからも地域密着で頑張りたい」と話した。

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