「性犯罪者は全員死刑でいい」そう言って母は息子の性器に手を伸ばした…表に出ない「息子を襲う母」のリアル

幼い頃に母親から受けた性暴力は、その後どのような影響を与えるのか。犯罪加害者の家族を支援するNPO代表で、『近親性交 語られざる家族の闇』(小学館新書)著者の阿部恭子さんが、高校生になるまで母親から性加害を受けた50代の男性のケースを紹介する――。 ■母親からの性被害を受けた息子 家族間の性加害において、最もタブー視されていると言っても過言ではないのが、母親による息子への性加害である。母親に加害性の認識がなく、息子もまたその当時は被害を受けている認識がなかったという報告が実に多かった。ところが、時間の経過に伴って歪んだ母子関係が、成長した息子の人生に多大な悪影響を及ぼすケースがある。 本稿では、母親から性被害を受けていた杉本亮(仮名・50代)氏の体験を紹介したい。登場人物はすべて仮名で個人が特定されないよう修正を加えている。 ■「母親と寝る男」とあだ名をつけられ… 「マザーファッカー」 中学生の頃の僕のあだ名です。どういう意味だろうって、調べたら、男を最も侮蔑する単語なんですね……。 どうして僕がそんなあだ名で呼ばれるようになったかというと、中学3年生の頃、クラスメートがいたずらをして僕のカバンにエロ本を入れたんです。家に帰ると母親がそれを見つけて大騒ぎになったことがありました。 「これはどうやって手に入れたの? 正直に言いなさい!」 母は鬼の形相で僕に詰め寄りました。 「知らないよ。鞄を開けたら入ってたんだ。誰かいたずらして入れたんだよ……」 「いたずらって……。こんな破廉恥なこと、絶対に許さない!」 母は翌日学校に乗り込み、担任に僕のカバンに雑誌を入れた犯人を捜すよう詰め寄りました。先生は皆に対して「イタズラは止めなさい」と一般的な注意を行ったのですが、母は納得がいかず、連日、僕に心当たりがあるクラスメートの名前を教えるよう迫り、片っ端から電話を掛けて誰がやったのか問い詰めていったのです。結局、犯人は見つからず、母の異常な行動にクラスメートたちは完全に引いていました。 それ以来、僕は生徒たちから馬鹿にされ、陰口を言われるようになったのです。そして、つけられたあだ名が「マザーファッカー」。母親と寝る最低な男という意味ですね。しかし、僕は本当に一時期母親と寝ていたのです。僕は人類史上最低のクズ男なんです。

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