南米コロンビアの銃撃された上院議員、事件から2カ月たって死亡

南米コロンビアの上院議員で、来年の大統領選に立候補する意向を示していたミゲル・ウリベ氏(39)が、頭部を狙い撃ちされるという衝撃的な事件から約2カ月たって死亡した。妻が11日、明らかにした。 ウリベ氏は6月7日、首都ボゴタでの選挙集会で、頭に2発、脚に1発の計3発の銃弾を受けた。 ウリベ氏の妻マリア・クラウディア・タラソナ氏は、ソーシャルメディアでウリベ氏の死亡を公表するとともに、その死を悼んだ。 この銃撃事件では、15歳の少年が実行した疑いで逮捕され、殺人未遂で起訴されている。少年は無罪を主張しており、動機は明らかになっていない。他にも数人が、少年に協力した疑いで拘束されている。 ウリベ氏が治療を受けていたサンタフェ財団病院は、今月9日に声明を発表。同氏の中枢神経系に出血が見られ、手術を予定しているとしていた。ウリベ氏はすでに同病院で、何度か手術を受けていた。 ウリベ氏の妻はこれまで、同氏の回復を祈るよう人々に呼びかけ、支援集会には何千人もが参加していた。 ウリベ氏は2022年から上院議員を務め、来年の大統領選挙で、所属する右派の野党「セントロ・デモクラティコ」の指名を狙っていた。左派のグスタヴォ・ペトロ大統領に対する率直な批判で知られ、世論調査で人気があり、党の新進気鋭の人物と目されていた。 ペトロ大統領の事務所は、ウリベ氏の家族に哀悼の意を表明する声明を発表した。 ウリベ氏への大胆な攻撃は、コロンビアで大統領候補や有力人物らが暗殺された1980年代から1990年代にかけての激動の時代を、国民に思い起こさせるものとなった。 ウリベ氏の母でジャーナリストのディアナ・トルバイ氏は、1990年に同国の麻薬王らが結成した連合体「ロス・エクストラディタブレス」に誘拐された。5カ月間、人質にされたのち、救出作戦の失敗で射殺された。 ウリベ氏はしばしば、「自分たち国のために働く」政治家になろうと思ったきっかけとして、母の存在を挙げてきた。 ロス・エクストラディタブレスは、アメリカの刑務所よりコロンビアの墓場のほうがましだと公言している。当時は、政府にアメリカとの犯罪人引き渡し条約を覆させようと、著名なコロンビア人を拉致し襲撃した。 ただ、ここ数十年で、コロンビアの治安指標は大幅に改善されている。2016年には、政府と左翼ゲリラ組織「コロンビア革命軍(FARC)」との間で歴史的な和平合意が成立した。 それでも、コロンビアの殺人事件発生率は、エクアドル、ブラジル、ホンジュラスと並んで、依然としてこの地域で最も高い。政治家や治安部隊のメンバー、労働組合のリーダー、環境保護活動家、社会的リーダーらは、殺害予告や圧力、攻撃に頻繁に直面している。 コロンビアの平和と和解財団(PARES)のラウラ・ボニーリャ副代表は、ウリベ氏が殺害されたことで、右派政治家とその発言がより注目されることになるとの見方を、BBCスペイン語サービスの「BBCムンド」に示した。 一方、フランシア・マルケス副大統領は、国民に対し、団結してあらゆる暴力行為を拒否するよう促し、「私たちの民主主義に暴力が存在し続けることはできない」と訴えた。 ウリベ氏の死亡は、コロンビア国外にも波紋を広げた。アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、事件関係者が裁かれるよう求めた。 (英語記事 Colombian Senator Miguel Uribe dies two months after being shot)

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