プーチン-ゼレンスキー会談、スイス・オーストリア・ハンガリーが誘致戦

ロシアとウクライナの首脳会談の可能性が浮上し、すでにスイス・オーストリア・ハンガリーが誘致戦に入っている。ウクライナ戦争当事国の首脳が会って談判をする国は「仲裁者」のイメージを強め、国際社会で存在感を示すことができるからだ。米国までが合流して3カ国会談をすれば、トランプ米大統領と関係を深める機会にもなる。 ジュネーブに国連欧州本部を置くスイスが誘致に最も積極的だ。スイス政府はロシアのプーチン大統領が入国しても逮捕の危険はないという点を強調した。国際刑事裁判所(ICC)はウクライナ侵攻容疑で2023年にプーチン大統領に対する逮捕状を発付した。スイスはICC加盟国だが、昨年、外交的業務でスイスを訪問する場合にはICC逮捕状執行対象から免除するよう規定を整備した。 スイスのカシス外相は19日(現地時間)、スイスSRF放送のインタビューで「プーチン大統領を逮捕なくスイスに招待することは100%可能であり、これは数日以内に決定可能」と述べた。マクロン仏大統領もスイスを支持している。マクロン大統領はこの日、仏メディアLCIのインタビューで「(会談は)中立国で開かれるはずであり、スイスになる可能性がある。私はジュネーブを主張する」と話した。オーストリアも冷戦時代に旧ソ連の共産主義と西側の自由陣営の境界にあった国であることを前面に出し、広報戦を稼働した。シュトッカー首相はこの日、X(旧ツイッター)で「オーストリアはいつでも仲裁と支援を提供する準備ができている」と述べた。オーストリアのウィーンにも国際原子力機関(IAEA)と欧州安全保障協力機構(OSCE)など、さまざまな国際機関が集まっている。 ハンガリーも主要候補地の一つに浮上した。18日にトランプ大統領との電話でオルバン首相がロシアとウクライナの首脳会談開催に関心を表明したと、ブルームバーグ通信は伝えた。ベッセント米財務長官もFOXニュースのインタビューで、米国・ロシア・ウクライナの3者会談がハンガリーのブダペストで開催されるのかという質問に対し「その可能性もある」と答えた。政治メディアのポリティコは米大統領警護隊がハンガリー現地で首脳会談の開催に向けた準備に着手したと報じた。 ハンガリー議会が4月にICC脱退法案を通過させただけに、プーチン大統領としてもハンガリーは相対的に負担なく出入りできる海外訪問地だ。ハンガリーは欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)の加盟国だが、親ロ派のオルバン首相はウクライナのEU加盟に反対してきた。逆にゼレンスキー大統領にとってハンガリーは好ましくない選択肢となる可能性がある。 これに先立ちロシアとウクライナの実務陣が何度か実務会談をしたトルコなども候補地として言及されている。トルコと共にイスラエルとパレスチナの武装組織ハマスの交渉を仲裁してきた中東のカタールも開催地候補の一つに挙げられると、NBC放送が20日報じた。これらの国はすべてICC加盟国ではない。 現在のところロシア・ウクライナ首脳会談が実現するかどうかが最も大きなカギだ。ゼレンスキー大統領の正統性を否定して対話相手として認めなかったプーチン大統領が会談に出てくれば、これまでの立場と矛盾することになる。プーチン大統領は18日、トランプ大統領との電話で会談場所にモスクワを提案したという。ウクライナが受け入れる可能性がほとんどない場所を提案した事実を見ると、対話の意志が見えないという声も出ている。

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