(CNN) 米下院監視委員会は8日夜、性犯罪で起訴され勾留中に死亡した富豪、ジェフリー・エプスタイン元被告の遺産管理団体から提出された大量の記録を公開した。その中には、トランプ大統領の名前が記されたメモも含まれる。メモはエプスタイン元被告の50歳の誕生日に贈られた手紙集の一部。 記録には、上記の「バースデーブック」に加え、エプスタイン元被告の遺言、住所録の記載、そして元被告とフロリダ州南部地区連邦検事局との間で2007年に締結された不起訴合意書も含まれていた。 すべての記録が公開される前に、委員会の民主党議員らは、いわゆる「バースデーブック」からトランプ氏の名前が記されたページの画像をX(旧ツイッター)に投稿した。トランプ氏はこのメモを書いたことを再三否定し、最初にこの件を報じた米紙ウォールストリート・ジャーナルを名誉毀損(きそん)で訴えている。 ホワイトハウスのレビット報道官は、この文書の公開後、Xへの投稿で「トランプ大統領がこの絵を描いたり、署名したりしていないことは極めて明白。トランプ大統領の弁護団は引き続き積極的に訴訟を進めていく」と述べた。 当該のメモの署名は、オンラインで拡散しているトランプ氏の他の文書への署名画像、特にファーストネームのみを署名している画像と酷似している。 委員会はエプスタイン事件を調査しており、継続的な調査の一環として遺産管理団体に文書提出を求める召喚状を出した。この調査は、事件の透明性向上と情報公開を求める声が上がる中で行われた。そこにはトランプ氏自身が率いる党の関係者からの要求も含まれる。 委員会の民主党議員らはまた、「バースデーブック」の別のページとされるメモにも注目した。議員らによれば、写真が添えられたこのメモは「エプスタインと(トランプ氏のフロリダ州の邸宅)マール・ア・ラーゴの長年の会員が、『完全に価値の下がった』女性をドナルド・トランプに2万2500ドルで売ると冗談を言う」内容だという。 一部編集された写真には、エプスタイン元被告が他の数人の隣に立ち、トランプ氏から元被告宛ての2万2500ドルと見せかけた特大の小切手を手にしている様子が写っている。委員会は写真に写っている他の人物の身元を明らかにしていない。 CNNはホワイトハウスにコメントを求めている。下院監視委員会のジェームズ・カマー委員長は声明で、自身が大量の資料を全て公開する前に、民主党がそれらを恣意(しい)的に公開したと強く非難した。また「エプスタイン元被告の銀行記録」については、既に提出された情報に基づいてをさらに追及すると言い添えた。 今やよく知られる資料となったエプスタイン元被告の「バースデーブック」は写真、年報、歌曲集、その他の思い出を集めた238ページにわたるコレクションだ。エプスタイン元被告の元交際相手、ギレーヌ・マクスウェル受刑者が編纂(へんさん)した。 バースデーブックの目次には、「友人」という見出しの下に、ビル・クリントン元大統領、弁護士のアラン・ダーショウィッツ氏、トランプ氏など20人以上の名前が挙げられている。一方、「ガールフレンド」という見出しの下に続く名前は、すべて削除されている。 この大量の資料には、クリントン氏が「50歳の誕生日おめでとう」とエプスタイン元被告を祝福しているとみられる手紙も含まれる。広報担当者はクリントン氏について、エプスタイン元被告が2019年に連邦法違反の罪で逮捕される前に関係を断ったとする以前の声明に言及した。この声明では、元被告の犯罪についてクリントン氏は知らなかったとも述べていた。