【09月12日 KOREA WAVE】ソウル市西大門区の小学校付近で誘拐未遂事件が発生し、さらに別の小学校では飲食店経営者による児童への不法撮影事件も明るみに出た。児童を狙った犯罪が相次ぎ、保護者の間に深刻な不安が広がっている。 西大門区のある小学校近くでは8月28日、20代の男3人がSUV車を低速で走らせながら下校中の児童4人に「可愛いな、家まで送ってやる」と声をかけ連れ去ろうとした。児童が逃げたため未遂に終わったが、地域の保護者は衝撃を受け、以後は下校時に付き添ったり、位置確認アプリを利用するなど警戒を強めている。 この小学校に子どもを通わせる保護者は「共働き家庭は特に不安だ。ニュースを見せて子どもと一緒に対応を話し合い、学校が配布した“知らない人についていかない”など9カ条の通達を読み聞かせている」と話す。別の保護者も「校門から一人で出ないよう繰り返し教えている」と語った。 一方、麻浦区の小学校では、飲食店を営んでいた30代の男が常連の女子児童十数人をスマートフォンで不法撮影したとして立件された。児童にとって日常的に立ち寄る学校や飲食店でさえ犯罪から安全でない現実に、保護者は大きな衝撃を受けている。近所の主婦は「よく利用していた場所での事件でショックが大きい」と語った。 児童の安全を守る“下校サポート”に従事する50代の女性も「最近は保護者が“しっかり見守ってほしい”と念を押してくる」と明かす。 こうした事件が続く中、防犯グッズの需要も急増している。韓国の電子機器メーカー、アイン電子によれば誘拐未遂事件後、売り上げが5倍に跳ね上がった。位置通報機能が警察に直結する製品が特に注目されているという。防犯用品販売会社セイバーコリアも1週間で売り上げが倍増した。 しかし、保護者の自主的な対応だけでは不十分との指摘もある。ある保護者は「10月初めまで特別巡察をすると聞いたが、一時的ではなく恒常的に登下校時の巡回を続けてほしい」と求めた。 警察の初動対応にも批判が出ている。西大門区の小学校での誘拐未遂事件は8月28日に発生し、30日に通報されたが、警察は当初「犯罪の関連性なし」と判断。だが9月2日に同様の手口の通報があり捜査を拡大、ようやく9月3日に20代の男3人を逮捕した。遅れた対応に地域から不満が噴出している。 さらに9月8日には京畿道光明市のマンションで、高校生の少年がエレベーター内で小学生の少女の首を絞め連れ去ろうとする事件も発生した。警察は少年が面識のない少女を狙い、性犯罪目的だったとみて捜査している。 相次ぐ事件は「子どもの日常が犯罪の危険にさらされている」との認識を保護者の間に強めている。警察の恒常的な巡回や迅速な対応が、保護者たちの強い要望として浮かび上がっている。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News