2歳の長女を虐待して死なせたとして、和歌山県警は26日、和歌山県紀の川市西井阪の建設業、平晴流(はる)(26)と妻で無職の菜々美(26)両容疑者を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕した。長女の体重は2歳児の平均の半分ほどしかなく、極度に痩せ細っていた。県警は2人が身体的な暴行に加え、食事を与えないネグレクト(育児放棄)もしていたとみて詳しい経緯を調べる。 和歌山市によると、死亡した平流菜(るな)ちゃん(当時2歳)は生後4カ月を過ぎてからの乳幼児健診を受けていなかった。 市は出生した全ての乳幼児に対し、生後4カ月▽10カ月▽1歳半▽2歳半▽3歳――の健診を実施している。健診は子どもの発育状況を確認するとともに、自治体が家族による虐待の兆候などに気づく機会にもなる。 市地域保健課によると、流菜ちゃんは市内で出生後に生後4カ月の健診は受けたが、10カ月時点は受診していなかった。このため市は2024年3月、保健師による家庭訪問を実施。体重を量るなど発育状況を確認したが、流菜ちゃんに異常はなかったという。 さらに8カ月後の1歳半健診も未受診だったため、再び家庭訪問した。この時は体重や身長などの計測はせず、保健師が対面で状況を確認したという。市の担当者は「いずれの訪問時も虐待が疑われるような兆候はなかった」と説明した。 両親が2度健診を受けさせなかった理由について、市は「当時聞き取りをしているが内容は差し控える」と明らかにしていない。 和歌山県警によると、流菜ちゃんは死亡時の体重が2歳児の平均の半分ほどしかなく、両親からネグレクト(育児放棄)されていた疑いもある。保育園や幼稚園にも通っておらず、家族以外が流菜ちゃんの状況を把握する機会は限られていたとみられる。 市の担当者は「対応の範囲では児童相談所などに通告が必要な事案ではなかったと捉えている」と話した。 児童虐待に詳しい東京通信大の才村純名誉教授(子ども家庭福祉論)は「乳幼児健診は虐待を早期に発見するための重要な機会だ。2度も続けて健診を受けていない段階で両親の言動はどうだったのかや、家庭訪問時の市側の対応や判断が適切だったのかについて検証が必要だろう」と話した。【安西李姫、斉藤朋恵】