大川原化工機冤罪事件、警察・検察幹部らが墓前で謝罪 遺族「決して許すことはできません」

不正輸出(外為法違反)の疑いで横浜市内の化学機械メーカー・大川原化工機の社長ほか幹部3人が逮捕・起訴されながら取り消しとなり、その後幹部らが提訴した国家賠償訴訟を経て警察・検察による「違法捜査」が裁かれた件(※)で、前記3人のうち2021年2月に死去した相嶋静夫さん(当時72歳)の遺族に対し、鎌田徹郎・警視庁副総監と小池隆・最高検公安部長、市川宏・東京地検次席検事の3人が8月25日に謝罪。横浜市旭区の霊園にある相嶋さんの墓を訪れ、遺族が見守る前で献花し、手を合わせた。 相嶋さんは長期勾留中に計8回の保釈請求を行なうも却下されるうち、進行性のがんで亡くなった。妻(77歳)は墓前で「このまま夫は見殺しにされてしまうのかと気が狂いそうです。命だけは助けてください」と勾留当時に東京拘置所所長に送った手紙を読み上げ、「お三方がこのような立場に立たされたらどうされますか」と問い、市川氏は「自分の身に置き換えますと、どれほどご心痛であったか言葉もございません」と答えた。 国賠での敗訴判決確定を受けて警視庁と検察庁は6月20日、大川原化工機本社を訪ねて、大川原正明社長と島田順司元取締役に謝罪した。この際、相嶋さんの遺族は謝罪を受け入れなかったが、その後の警視庁による検証結果を一定評価。だが妻はこの日、対面の場で「謝罪は受け入れますが、決して許すことはできません」と語気を強めた。母、長男(51歳)とともに、この日初めて会見に出席した二男の宣宏さん(48歳)は「警視庁の検証は不十分で失望しています。第三者の関与もなく信頼できません」と思いを吐露。前記した墓前で母親の姿について筆者が聞くと「母がいつも家で話していた思いでしたから」と答えた。

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