特別養護老人ホームで高温の湯を張った浴槽に入所者の70代男性を入れて死亡させたとして、大阪府警は30日、介護福祉士の三宅悠太容疑者(38)=大阪市福島区福島6丁目=を傷害致死容疑で逮捕し、発表した。 三宅容疑者は「けがを負わせようという気持ちはなかった」と容疑を否認しているという。 捜査1課によると、三宅容疑者は6月2日午前9時40分~午前10時ごろ、大阪市東成区の特別養護老人ホーム「アルカンシエル東成」の浴室内で入浴介助中、高温の湯を張った浴槽に入所者の70代男性を入れ、全身やけどの傷害を負わせて死亡させた疑いがある。 男性は全身の約77%にやけどを負って病院に搬送されたが、23日後に死亡した。司法解剖の結果、死因は全身やけどによる敗血症だった。 男性には半身まひがあり、入浴時は専用の椅子に座り、ベルトで体を固定したまま椅子ごと浴槽に入る方法を取っていた。事件当時、三宅容疑者が1人で男性の介助をしていたという。 現場の浴槽は手動で蛇口をひねり給水する仕組みで、一定の温度を越えないようにストッパーが備えられていた。 三宅容疑者は逮捕前の調べに「温度の操作を適当にしてしまい、高温の湯を張ってしまった」「ストッパーを解除して高温の湯を張った」などと説明したという。 三宅容疑者は現場の施設の正規職員ではなく、空き時間に仕事をしたい人と施設をつなぐサービスを利用。事件当日が、この施設の2回目の勤務だったという。 施設を運営する社会福祉法人「弘仁会」(大阪市生野区)の代理人弁護士は取材に「被害者に申し訳なく思っている。原因究明と再発防止に取り組む」と述べた。(宮坂知樹、岡田真実)