警察官がたりの特殊詐欺被害が急増している。京都府警は「偽警察官」の声を公開し、注意を促している。 「大阪府警で資金洗浄事件、いわゆるマネーロンダリング事件の捜査を進めております」「(あなた)名義の銀行のキャッシュカードを押収している」 これらの会話は今年5月、30代男性の携帯電話へ実際にかかってきた通話記録だ。 電話の相手は男で、「大阪府警生活安全部のオオノ」と名乗った。口調が丁寧な点が特徴で、男性が事件に関与していると告げ、捜査協力を求めてきた。 男性が「私が犯人とつながっているということですか」と質問すると、男は「そうです。こちらは嫌疑をかけております」と強調し、「資産を全て凍結して、逮捕・起訴される場合もある」と不安をあおった。 一方、会話の中の説明には稚拙な部分もある。男性が「今後どうすればいいですか」と尋ねると、男は「ここからは法律の話になるが、憲法9条で決まっている犯罪収益隠匿罪が成立する」と述べ、憲法に規定されていない別の法律の罪名を告げてきた。ただ、もっともらしい説明と受け取ると、そのままだまされてしまいそうだ。 通話は約6分間続いた後、犯人側が電話を切ったため、男性は被害に遭わずに済んだ。 京都府警は「犯人側が男性をだませないと判断し、諦めた可能性が高い」とみている。一連の音声は、府警ホームページやユーチューブで公開している。 偽警察官による詐欺から被害を防ぐにはどうすればいいか。府警は二つのポイントを挙げる。 一つ目は、犯人側が用いる電話の多くが「+」から始まる国際電話となっていることだ。府警が公開した通話記録でも、犯人側の電話番号は「+87」から始まっていた。府警は府内全署で、国際電話の利用を休止する手続きの支援をしており、被害を未然に防ぐ対策をサポートする。 二つ目は、本物の警察官は電話やラインで「あなたを捜査している」「逮捕する」などと告げないという点だ。府警特殊詐欺対策室は「捜査機関が電話やラインで捜査対象者に接触することは絶対ない。『逮捕する』などと言われた場合、すぐに電話を切って」と言い切る。 その上で「知らない番号には出ない。不審と思ったら、すぐに最寄りの警察署に相談してほしい」と呼びかけている。