三重県亀山市の新名神高速道路を逆走して玉突き事故を引き起こし、6人に重軽傷を負わせたとして、危険運転致傷などの罪に問われたペルー国籍の無職ロッシ・クルーズ・ジョン・エリアス被告(35)=滋賀県長浜市小堀町=に対し、津地裁(湯川亮裁判官)は8日、懲役1年6月(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。 判決などによると、ロッシ被告は5月18日午前11時ごろ、亀山市安坂山町の新名神高速下り鈴鹿トンネル付近を乗用車で逆走し、走行車両を妨害。車4台が絡む玉突き事故を引き起こし、6人に脊髄損傷などのけがをさせたとされる。 また、ロッシ被告は事故後に逃走したほか、逆走の約7時間前には名古屋市内で飲酒運転をしていたとして、道交法違反(救護・報告義務、酒気帯び運転)の罪にも問われていた。 湯川裁判官は判決で、ロッシ被告が複数の店で飲酒してから高速道路に入り、目的地を通り過ぎてから逆走したことを踏まえて「経緯に酌むべき点がない」と強調。「飲酒運転の発覚を恐れて逆走を再開したといい、身勝手な意思決定は強い非難に値する」と述べた。 「逮捕されたくないとの身勝手な考えで現場から逃走した」と説明。事故後も約9キロにわたって逆走を続けたことなどから「交通ルールを軽視する態度は限度を超えている」と指摘した。 その上で、翌日に自ら出頭したことや加入していた自動車保険による被害弁償が見込まれることなどを考慮しつつ「執行猶予は相当ではない」と結論付け、実刑判決を言い渡した。