英、中国スパイの起訴取り下げ 公訴局長菅が政府を非難

【AFP=時事】英国で2人の男性が中国のスパイ容疑で起訴された注目の事件は、中国政府が安全保障上の脅威であるという証拠を英国政府が提示できなかったため、取り下げられた。ステファン・パーキンソン公訴局長菅が明らかにした。 元国会調査官を含む2人の男性に対する起訴が先月取り下げられたことを受け、検察は議員や政府関係者に批判されている。 だが、パーキンソン氏は7日、議会委員会宛ての書簡で、検察は裁判を進めるために必要な証拠を入手しようと「何か月も」試みてきたが、政府から証拠が提出されなかったと述べた。 クリストファー・キャッシュ氏(30)とクリストファー・ベリー氏(33)は2023年に逮捕され、2021年12月~2023年2月に「敵にとって直接的または間接的に有用となる可能性のある」情報を収集したとして起訴された。 キャッシュ氏が保守党の有力議員と密接な関係にあるとされる議会調査官であることが明らかになったため、大規模なセキュリティー侵害の懸念を引き起こした。 英国の国家機密法に基づきこの事件を立証するには、検察は被告人が「敵」、つまり犯行当時英国にとって国家安全保障上の脅威となっていた国のために行動していたことを示す必要があった。 だが、イングランドとウェールズの最高位検察官であるパー​​キンソン氏は、中国が「国家安全保障上の脅威」であったことを示す十分な証拠は提示されなかったと説明。 「証拠を入手するための試みは何か月にもわたって行われたが、さらなる目撃証言が提出されたにもかかわらず、犯行当時中国が国家安全保障上の脅威であったと述べるものは一つもなかった」と述べた。 英紙タイムズによると、元公訴局長官のキア・スターマー首相は、この事件は前保守党政権下で発生したため、検察は中国の安全保障上の脅威に関する前政権の政策に言及する必要があると主張。 「検察官として、このような事件を起訴するのであれば、犯罪が行われた当時の状況が重要だと理解している」と述べた。 政府報道官は今週、「国家機密法に基づく起訴を維持しないという決定は、政府から完全に独立した公訴庁によって行われた」と述べた。 スターマー政権は、2024年7月の政権発足以来、前保守党政権下で史上最低水準にまで悪化した中国との関係修復に尽力しており、閣僚が中国を訪問している。【翻訳編集】 AFPBB News

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