日本サッカー協会(JFA)技術委員会の影山雅永委員長(58)が、パリ行きの機内で児童ポルノを閲覧した疑いで現地当局に逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。児童ポルノ閲覧が世界的に重罪とされる中、日本の法整備と社会の認識の遅れが浮き彫りになった。国内には、子どもを性的に搾取する目的の「SNSコミュニティー」が約16万人規模で存在しているという。ネットパトロールを続ける民間団体「ひいらぎネット」代表の永守すみれさん(36)に、その実態を聞いた。 * * * ――日本社会で増殖を続けている子どもを性的に搾取する「SNSコミュニティー」とは、いったいどういうものでしょうか? XのようにメジャーなSNSから、秘匿性の高いメッセージアプリ「ディスコード」や「テレグラム」などにまで存在するコミュニティーです。 ――具体的には、どのようなことが行われているのでしょう。 Xでは、性的コンテンツ全般が扱われ、盗撮や未成年の被害画像といった「デジタル性暴力」の画像・動画から、本人が同意のもとで撮影したいわゆる「ポルノ」も大量に出回っています。 中には、「交換専用」のコミュニティーもXにはあります。自分が持っている画像や動画を投稿し、似た趣味を持つ人と交換する仕組みです。大容量のファイルを転送できる外部サービスにリストをまとめ、互いにやり取りするケースも見られます。 ディスコードやテレグラムなどでは、より悪質性が高いものが多くなります。合法的なポルノは減り、盗撮などデジタル性暴力に関する画像や動画が増加します。そこでは個人情報もやり取りされ、自宅の住所や本名まで共有されてしまうことがあります。 名古屋市の教員らのグループが女児の盗撮画像をSNSで共有していたなどとして逮捕された事件は、悪質性の高いコミュニティーの典型例です。 ■X上に16万人規模のコミュニティー ――コミュニティーの規模としてどれくらいでしょうか? 私が確認した中では、Xに16万人規模のものが存在しました。ほかにも10万人を超えるコミュニティーをいくつか見かけます。ディスコードやテレグラムでは最大で数千人規模です。 ――16万人という数字に驚きました。「闇」の深さを感じますが、なぜそれほど大規模になったのでしょうか。また、参加者はどのような人たちですか? あくまで個人的な意見ですが、デジタル性暴力そのものに強い関心を持つ人は一部だと思います。多くは単純に、性的な画像や動画が見たい、つまり自分の性的好奇心や性欲を満たす目的で参加していると感じます。