静岡県警は9日、今年の県警警察官の逮捕者が過去10年で最多の5人になり、全国的にも事件捜査に関して国民の信頼を損なう事案が相次いでいるとして、危機意識を共有するための臨時署長会議を県警本部で開いた。久田誠本部長は「組織の規律が緩んでいる」と強い懸念を示し、真に実効性のある不祥事防止策や適正捜査の推進を指示した。 久田本部長は、交番女性用トイレに設置した小型カメラで女性職員を盗撮したとして静岡南署前刑事1課長の男性警部(45)を建造物侵入と性的姿態撮影処罰法違反(撮影)の容疑で9月に逮捕したことに触れ、「幹部警察官が盗撮という深刻な人権侵害で逮捕され、極めて遺憾。これまで全国の警察を挙げて取り組んでいた警察改革の精神が形骸化していないか」と踏み込んだ。その上で、部下職員が業務の基本やルールを順守しているかあらためて確認し、部下とのコミュニケーションの取り方も見つめ直すよう求めた。 適正捜査の推進に関しては、横浜市の機械製造会社「大川原化工機」を巡る冤罪(えんざい)事件やストーカー被害を訴えた川崎市の女性(20)が殺害された事件を踏まえ、捜査員が声を上げやすい環境づくり▽ストーカーなど人身関連事案への組織的な対応の徹底―などを指示した。 県内全28警察署の署長と県警本部の部長、所属長ら約70人が参加し、松永由弥子県公安委員長から「警察の原点に立ち返ってほしい」との訓示も受けた。