合法成分から違法な麻薬を製造したとして、京都府警は16日、麻薬及び向精神薬取締法違反(THC類の営利目的製造)の疑いで、いずれも無職で東京都東久留米市の東薫亨(まさゆき)(25)と宮崎県高鍋町の井上堅士郎(40)の両容疑者=いずれも大麻取締法違反罪などで逮捕、起訴済み=を再逮捕し、同罪で起訴したと発表した。東容疑者は黙秘し、井上容疑者は容疑を認めている。 府警によると、大麻草由来の合法成分「カンナビジオール(CBD)」に化学反応を起こせば、大麻の有害成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」に変換することができるといい、国内で警察が合法成分を基にした麻薬製造事件を摘発するのは初めて。 幻覚作用などを引き起こすTHCは、昨年12月の麻薬取締法と大麻取締法の改正法施行により、製品中のTHC残留限度値が設けられ、限度値を超える場合は「麻薬」として規制対象となった。一方、CBDは安全性が高く規制対象外でリラックス効果などをうたう含有製品が流通している。 2人の再逮捕容疑は氏名不詳者と共謀し4~5月、宮崎県高鍋町のマンション一室で、大麻草由来のCBDからTHCを含む液体を製造したとしている。 府警は6月、大麻を密輸したとして、大麻取締法違反(営利目的輸入)容疑で2人を逮捕。マンション一室の捜索で、THC成分を含む液体約20グラムや製造に使ったとみられるフラスコなどの器具が見つかった。 府警によると、2人は匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)のメンバーで互いに面識はなかった。東容疑者が秘匿性の高い通信アプリを使って井上容疑者に製造を指示し、SNS上で販売しようとしていたとみられる。