神戸・男子高校生殺害事件 最高裁、被告の上告棄却 懲役18年確定へ「苦しみ癒えるわけではない」

神戸市北区で2010年10月、高校2年の堤将太さん(当時16)を刺殺したとして、殺人罪に問われた無職の男(32)について、最高裁判所・第2小法廷が男の上告を棄却した。10月14日付。裁判官4人全員一致の意見。これで懲役18年とした一、二審判決が確定する。 確定判決によると、男は2010年10月4日夜、神戸市北区筑紫が丘の歩道で、折り畳み式ナイフで将太さんの首や背中などを複数回刺し、殺害した。 弁護側は男に精神障害があり、完全責任能力はなかったと主張したが、一審・神戸地裁は2023年6月、「精神障害はなかった」として懲役18年を言い渡した。さらに二審・大阪高裁も今年(2025年)6月、被告側の控訴を棄却したため、上告していた。 捜査は難航し、「コールドケース (長期未解決事件)」と呼ばれた。犯人逮捕は事件から10年10か月経った2021年8月4日。兵庫県警は2020年、「『人を殺したことがある』と周囲に語る人物がいる」という情報を入手していた。 最高裁の上告棄却を受け、将太さんの父・敏(さとし)さんは、「当然のことだと思う。私たち遺族は、 被害者参加人として刑事裁判に参加し、長い裁判の過程を見てきたが、真実を述べようとしない被告の態度に、 何度も怒りがこみ上げた。なぜ将太が殺されなければならなかったのか、それが知りたい一心だったが、 その答えは何ひとつ見つからなかった。将太が尊い命を奪われてから、この10月で15年が経った。 上告棄却は一つの区切りだが、これで私たち遺族の闘いが終わったわけではなく、苦しみが癒えるわけでもない。被告には、 自分の犯した罪の重さから逃げずに向き合い、刑に服してもらいたい」とコメントした。

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