今年3月、少年犯罪で子どもの命を奪われた遺族らでつくる「少年犯罪被害当事者の会」(大阪市)が毎年開いてきた我が子らへの追悼集会「WiLL」が四半世紀の歴史に幕を閉じた。背景には遺族の高齢化や活動資金不足があるという。 同会は1997年、代表の武るり子さん(70)と夫の和光さん(故人)の呼びかけで、大阪や沖縄の4家族が集まって発足した。現在は約30家族が参加している。会の活動は刑事罰の対象年齢引き下げや、少年審判の一部で遺族らの出席が可能になるといった少年法改正のほか、犯罪被害者等基本法の成立にもつながった。 本記事では、ノンフィクション作家・藤井誠二氏の著書『少年が人を殺した街を歩く 君たちはなぜ残酷になれたのか』(2025年、論創社)から、武夫妻が長男・孝和君を面識のない少年の一方的な暴力によって失い、少年犯罪被害当事者の会を発足するに至るまでの経緯を記した箇所を抜粋して紹介する。(本文:藤井誠二)