【判決】「特殊な性癖」から7人の女児に卑劣な性的暴行…元柔道塾長が公判で語った「大切なもの」

「バレないように性的な行為に及ぶこと、性的な部分を見ること、盗撮をすることに性的な興奮を覚えるという性癖を持っているため、犯行に及びました」 複数の女児に性的暴行を加えるなどして、不同意性交等などの罪に問われていた柔道塾の元塾長・石野勇太被告(33)に10月22日、判決が下された。 千葉地裁で開かれた判決公判で宮本聡裁判長は「睡眠中で無防備な状態にあり、記憶が残らない状況など、被害者を自己の性欲を満たすために利用した卑劣な犯行」などと述べた上で、「被害者の人数や犯行の件数の多さから、同種事案と比較しても犯情は極めて悪いと言え、相当長期間の実刑は免れません」として、石野被告に「懲役22年」(求刑25年)を言い渡したのだった。 石野被告の犯行が明らかになったのは、女児への性加害ではなく、男児塾生A君(当時10歳)への暴行事件がきっかけだった。 「’24年11月7日、千葉県警市原署は’23年5月の合宿中に男子児童A君の口に無理やりしょうゆを流し込んだとして、石野被告を暴行の疑いで逮捕しました。その後、市原署は12月26日にも、うつ伏せにしたA君の首を右腕で締めたとして、暴行の疑いで再逮捕しています」(全国紙社会部記者) A君の暴行事件を捜査していく過程で、石野被告のスマホから、被告が撮影したとみられる大量の児童ポルノが発見された。捜査員はその児童ポルノを解析。被害女児を一人一人特定することで、新たな逮捕へとつなげていった。 「市原署は’25年1月7日に事件当時13歳未満だったBさんに性的暴行を加えたとして、石野被告を不同意性交等などの疑いで再逮捕しました。その後もCさんからHさんまで、被害者が判明するたびに逮捕が繰り返され、6月10日に事件当時18歳未満だったIさんへの児童福祉法違反の疑い(嫌々ながらも性交に応じたとIさんが証言したため)での再逮捕で、実に7回目の逮捕となりました。全日本柔道連盟は3月27日、石野被告を最も重い処分である除名処分にしています」(前出社会部記者) 石野被告はA君への暴行、Iさんへの児童福祉法違反、そして(起訴された順に)B~Hさんら13歳未満の女児7人への不同意性交等や性的姿態等撮影、児童ポルノ禁止法違反など10もの罪に問われていた。 ◆「あなたにとって大切なものは何ですか」 B~Hさんへの性的暴行は’19~’24年の主に合宿中、女児が寝ている間に犯行に及んでいるため、被害に遭ったことすら気づかなかったという。犯行中に女児が起きないよう、女児の飲み物に睡眠導入剤を混ぜることもあり、石野被告のスマホからは「眠剤合宿 寝るときに睡眠薬を混ぜる」というメモが発見されている。 さらに女児に性的暴行を加えたり体に体液をかけるといった犯行の一部をスマホで撮影。押収された動画データは100点以上、静止画データは400点以上に上った。Iさんに対しては、柔道の指導をしていた立場を利用して、当時18歳未満だった彼女に対して’21年に8回にわたり性行為をするなどの性的暴行を加えていた。 欲望の赴くままに塾生たちに暴虐の限りを尽くした石野被告だが、公判では「あなたにとって大切なものは何ですか」という質問にこう答えている。 「私にとって石野塾の子どもたち、その保護者、卒業生、指導者。とても大切にしていた存在でした。子どもたちに柔道の楽しさ、素晴らしさを教えたいという思いで、逮捕される日まで必死に頑張ってきました。一人一人の子どもたちに対して、その保護者に対して、卒業生や指導者に対して、かけがえのない人たちだったと思っています」 逮捕後の取り調べでは、一部否認をしたあと黙秘していた石野被告だが、公判ではすべての罪を認め、謝罪の言葉を口にしている。その一方で「(服役後は)実家に戻りたい」「性犯罪者とバレるといじめられるので、刑務所での性犯罪者処遇プログラムを受けるのは怖い」など、自分本位で、被害者家族の気持ちを逆なでするような発言も多かった。 公判の最後に宮本裁判長は石野被告に、こう語りかけた。 「あなたが今回やったことは、被害者やそのご家族に一生消えない傷を与える、取り返しのつかないことです。あなたはまだ理解が不十分だと思いますので、各犯行を行った原因について理解し、しっかり反省してください」 宮本裁判長の話が終わると、立ち上がり深々と頭を下げた石野被告。右手には衝立で見えないとはいえ、「かけがえのない人たち」のはずの被害者の保護者がいたのだが、そちらには見向きをすることもなく被告人席へと帰っていったのだった。 これから決して短くはない刑務所での生活が始まることになるであろう石野被告。その間に自分の性癖と向き合い、更正することができるのだろうか。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文:中平良

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