【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。米国のトランプ大統領が来日しましたね。28日には高市早苗首相との初めての首脳会談。外交は駆け引きも重要ですよね。高市政権がトランプ氏とどのような関係を築いていけるのか注目です。 さて、そんなニュースに関連し、今週は連続爆破事件を巡る“駆け引き”が魅力の新作映画「爆弾」(主演山田裕貴、31日公開)を紹介します。 映画は作家・呉勝浩氏のベストセラー小説が原作です。都内各地に爆弾が仕掛けられるという異常事態で、別の事件で逮捕された謎の男・スズキが突如爆弾の予言を始める。いざその言葉通りに爆発が起きると、取調官とスズキによる尋問の駆け引きが始まる――というストーリーです。 今作は緊迫感のあるリアルタイムミステリーの構造が素晴らしかったと思います。1時間に1回爆破するというのが見る側にも分かるんですけど、あと何分という時間のタイムリミットが常にあるんですよね。そんななか、のらりくらりとするスズキにイラ立ち、観客も時間に追われているような感覚になります。 当然、警察が捜査で都内を走り回るんですけど、スズキと取調官は取調室から一歩も出ないんですよね。汗をかく捜査劇と心を読み解く心理戦が同時に行われることでスクリーンに引き込まれていく二重構造が面白かったです。 さらに、原作ミステリー小説の映像化による“拡張”もポイントです。 小説はあくまでミステリーの文学作品なので、読み手の想像で場面を補完します。今回は映画ですから、視覚、聴覚をフルに使ったものになっている。さっきまで取調室で静かな攻防をやっていたのに、場面が変わるとドーン!と爆発に伴う怒号と悲鳴と恐怖が前面に現れるんですよ。取調室の心理戦とは別に物質的な緊張感が走る。それを映像化することによって、文字とはまた異なる緊張感を見せるという点が永井聡監督の力量だなと感心しました。 単なる爆破アクション映画ではなく、謎と心理時間など混ざり合うリアルタイムスリラーとして非常によくできてるなと感じました。ハラハラするんだけど、爆破事件を心理戦で読み解くバランス感覚の良い映画だと思いました。 米国は重要な同盟国ですが、もちろん日本としても譲れない点は多い。この映画以上の駆け引きが現実の外交の場では行われているのかもしれませんね。この機会にぜひ劇場でご覧ください。