ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく! * * * ――多党化した日本における政治風景ですが、2009年、民主党が衆議院で過半数を奪取して自民党から政権を奪った時、佐藤さんは当時の鈴木宗男先生が開催していた「大地塾」で、「これは山の中から山賊が都に出てきた時と同じことが起こる」とおっしゃっていました。現在の状況はどうなのでしょうか? 佐藤 いや、本当にすごい状態です。滅茶苦茶になってきたと思いますよ。 ――それもこれも、アメリカがヨレヨレの年寄り爺さんになったきたことに起因すると。 佐藤 その通りです。結局、高市早苗首相就任の過程における混乱も全て、アメリカが弱くなってきているのが根源ですよね。その弱体化が世界的規模の混乱に繋がっているということです。 ――昔なら、高市さんが出てくることも許さなかったかもしれない。あの権力絶頂の田中角栄首相を逮捕するのに繋げた陰謀を企てた国ですからね。 佐藤 そうですね。そして、いまの自民党に関して言えば、この党がこれからも生き残っていくためには、穏健保守として第一党をキープしながら、それに賛同できる党や無所属の議員を探していくのがよいと思います。 ――これ、共産党にも声をかけるのでしょうか? 佐藤 はい。共産党でも声を掛けていい法案はあるんですよ。例えば脳死法案、臓器移植とかですね。 ――他の党は維新、そして、国民民主ですか? 佐藤 維新だけですよ。国民民主と両方はできません。 ――それはなぜですか? 佐藤 一対一の話し合いでやっておけばいいんです。連立相手が二党になると、3人で話すことになります。するとまずは自民党と維新、それから自民党と国民、そして維新と国民と、利害関係が出てきてしまいます。 ――三党連立だとややこしい利害関係が増える。