1999年11月、名古屋市西区で、当時32歳だった主婦の高羽奈美子さんが殺害されました。高羽さんを殺害した疑いで逮捕された、名古屋市港区の安福久美子容疑者は、高羽さんの夫・悟さんの高校の同級生でした。 何が女を凶行に駆り立て、なぜこのタイミングでの逮捕に至ったのか。犯罪心理学の専門家に聞きました。 (東京未来大学・犯罪心理学 出口保行副学長) Q.悟さんではなく、奈美子さんを狙ったのはなぜと推測される? 「夫だけではなく、妻に対して負の感情を持っている。本人を襲うよりも家族を襲った方がダメージが大きいのではないか」 ■「十分調べあげた上での行動だったと思う」 Q.計画的だった? 「いつ何時どういうタイミングで、被害者と子どもが2人きりになるのかを十分調べ上げた上での行動だったと思う。人間は人と対面しながら、人の目を見ながら攻撃するのはなかなかできない。背後から襲うことが多いが、今回のように対面して自分の持っていた凶器で刺すのは、踏み込むと同時に、刺すことを十分に考えた上での行動だったと言える」 事件後も家族といっしょに暮らし、スーパーで事務員のアルバイトもしていたという安福容疑者。一方で警察の取り調べに「毎日不安だった」という供述も。 (東京未来大学・犯罪心理学 出口保行副学長) 「犯罪者は事件をいつ起こしたか、忘れる人はいない。毎日毎日逮捕されることにおびえ、1日たりとも1分たりとも忘れたことはないと思う。それでも、捕まりたくないという気持ちが強いと、平静を装わなければならない。一番身近な家族に知られてしまうのが、一番恐怖だっただろうなと思う。プレッシャーにさいなまれながら26年間過ごしていたと思う」 ■「ずっと観察したい気持ちが強く、近くに住むことを選択したのでは」 事件当時、現場から10キロほどの場所に暮らしていた安福容疑者。逮捕時に暮らしていた場所も、悟さんの住む場所からわずか2キロの場所でした。 (東京未来大学・犯罪心理学 出口保行副学長) 「近くで生活している方が、捜査がどう動いているのかわかりやすい。ずっと観察していたい気持ちが強く、近くに住むことを選択したと考えられる」