2012年5月19日、英国人女性リンジー・サンディフォード(Lindsay Sandiford)は、タイ・バンコクからバリ島のングラ・ライ国際空港に到着した直後、税関検査で拘束された。スーツケースの裏地からおよそ4.8キロのコカインが見つかり、彼女はその場で逮捕された。のちに「麻薬密輸罪」に問われ、インドネシア・バリ州のケロボカン刑務所に収監された。 当時56歳だったサンディフォードは、取り調べで「英国の犯罪組織から息子の命を脅され、仕方なく荷物を運んだ」と主張した。しかし裁判所はこの弁明を退け、2013年1月22日、バリ地裁で死刑判決を言い渡した。検察側は15年の懲役を求刑していたが、裁判官は「麻薬密輸は国を蝕む重大犯罪」として、求刑を上回る量刑を下したことは当時、大きなニュースとなった。