「5000人から絞り→DNA鑑定」26年未解決…“コールドケース”再捜査班の実像を元刑事が解説 名古屋主婦殺害事件

未解決だった名古屋主婦殺害事件は容疑者逮捕まで26年かかった。2024年4月、新たな担当刑事が赴任したことにより、事態が動いた。 元徳島県警捜査1課警部の秋山博康氏は、自身も「長年の捜査で、迷宮入りになった事件はある」と明かす。「捜査本部を立ち上げたときには、被害者の関係者など捜査対象者を選び出す。そして1人ずつ面接して、事情聴取する。今回は5000人にあたり、当初から(安福容疑者は)被害者に一番近い容疑者だったため、捜査線上にはあっただろう」。 しかしながら「多数の人数を捜査する中で、いったんは保留になったのだと思われる」としつつ、「2010年に時効が撤廃されたため、再捜査として、今まで積み重ねた捜査資料を見直し、容疑性のあるものから順番に捜査した結果、行きあたったのでは」と考察した。 今後の捜査については、「今回は動機が大事だ。現場に遺留された血痕のDNAから、まず犯人であることは間違いない。逮捕してすぐの現場検証だったので、素直に自供しているだろう。取り調べでは『なぜ奥さんを狙ったのか』『なぜその日・場所を選んだか』『いつ殺害を決意したのか』『凶器をいつどこで購入したのか』という計画性を取り調べしていると思う」とした。 26年越しの解決とあって、「本来なら時効があった事件を、ここまで再捜査で絞ったのはあっぱれだと思う。長年の捜査では、人事異動や退職などで、捜査本部を立ち上げ時とメンバーがガラッと変わる。悟さんに会ったとき、『熱意がある刑事がいる』と直接聞いた。組織は人なり。この刑事は熱い心で『被害者のために』と捜査を重ねて、結果を出したのだと思う」と評価する。 着任から1年半という早さには、「5000人から絞っていき、被害者から一番近い人間。なおかつこの事件は、唾液をDNA鑑定すれば白黒はっきりする。唾液の任意提出を拒む人を優先的に捜査して、たった1人の容疑者に行きあたったのだろう」とみる。 未解決事件は“コールドケース”とも呼ばれるが、これを専門に扱う捜査部隊が存在する。「捜査を長年していると、熱さが冷めてくる。『情報が来たら捜査する』という、眠った捜査本部もある。2010年に時効が撤廃し、全国警察の捜査1課の中には“未解決の重要事件を再捜査する班”ができた」。 再捜査班の規模は「事案による。警視庁や大阪府警のように組織が大きい本部と、田舎の小さい本部では人数も違うが、数名程度だろう。愛知県警だと班長以下、5〜10人くらいと思われる」という。 もし容疑者が他県へ逃走していた場合、情報共有はどうなるのだろうか。「事件は愛知県警で捜査する。事件当初は被害者周辺にいた人物が、事件後に県外へ行った場合も、捜査本部がある愛知県警が捜査し、他県警に捜査をお願いすることはない」。 こうした秋山氏の説明を聞いて、千原ジュニアは「担当刑事は素晴らしいと思うが、刑事によって『捕まえられる』『捕まえられない』があってはいけないのではないか」と述べた。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

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