【部活やろうぜ!】西川愛也を擁した花咲徳栄の甲子園優勝「本当に優勝したの? 俺らが? みたいな感じでした」

学校での部活を取り巻く環境が変化し、部員数減少も課題と言われる現在の日本社会。それでも、さまざまな部活動の楽しさや面白さは、今も昔も変わらない。 この連載では、学生時代に部活に打ち込んだトップアスリートや著名人に、部活の思い出、部活を通して得たこと、そして、今に生きていることを聞く──。部活やろうぜ! 連載「部活やろうぜ!」【プロ野球】西川愛也インタビュー 第3回(全4回) >>>第1回──西川愛也が振り返る花咲徳栄時代の寮生活「最初は ビックリしました」 >>>第2回──西川愛也が今も高校時代の恩師に指導を請う理由「あの人に教えてもらったら打てる」 今から9年前の2016年3月23日、春のセンバツ1回戦。花咲徳栄の新2年、西川愛也(現西武)は初めて甲子園の舞台に立った。 対戦相手は熊本県代表の秀岳館。4番レフトでスタメンに抜擢された西川は、初回のチャンスで三振に倒れた。 「甲子園でやるのは初めてだったので、すごく緊張して。1打席目は力みまくりというか、緊張で膝が震えていましたね。これまでで一番緊張したんじゃないですか。高校球児なので、甲子園を目指してやってきましたから」 甲子園の初戦で西川に出場機会が巡ってきたのは、本来4番に入るはずの先輩をケガで欠いていたからだった。 「ここで打たないと、先輩が戻ってきたら僕はまたベンチだと思って。緊張もしていたんですけど、なんとか打ちたいなって、結構アドレナリンもすごくて。それが甲子園なんでしょうね」 迎えた3回表の第2打席では緊張を高揚感が上回り、チャンスにライト前安打で先制点を呼び込んだ。 ところが、直後に5点を奪われる。6回に1点ずつを取り合い、2対6で迎えた8回。花咲徳栄は1点を返して勢いづくと、4番の西川に4打席目が回る。 マウンドに立ちはだかるのは、同学年で左腕の田浦文丸(現ソフトバンク)。西川はレフトにタイムリー二塁打を弾き返し、2点差に詰め寄った。 「本当にアドレナリンが出すぎて、打った時の記憶がなくて。気づいたらセカンドベースにいた、みたいな感じなんです」 1点差で惜しくも敗れた試合後、囲み取材で打った球種を聞かれたが、覚えていなかった。咄嗟に「初球のスライダーを打ちました」と答えたら、記者は首を傾げている。「なんでやろう?」と疑問に感じた西川が映像を見返すと、3球目の真っすぐを捉えていた。 「それくらいアドレナリンが出ましたね。たぶんゾーンに入っていました」 極限まで集中力が高まり、雑念がいっさい取り除かれていたのだろう。プロに入ってからもチャンスや大一番の打席で、相手の投げた球種を覚えていないことが時々あるという。 「いい集中状態で(打席に)入れているからですかね。自然にそうなることが多いです。ピッチャーに対する思考が『打つ』ぐらいで、無意識下で、ほぼ反射みたいな感じで打っているのかな。それが一番よかったりする時もありますね」

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