日本三大花火の一つとして知られる「長岡まつり大花火大会」の入場券を不正に転売したとして、新潟県警長岡署は11日、新潟県長岡市百東町の農業、井上宏容疑者(47)を入場券不正転売禁止法違反の疑いで逮捕したと発表した。長岡花火は近年、チケットの高額転売が問題となっていたが、逮捕者が出たのは初めて。 2025年の長岡花火は8月2、3日に開かれた。逮捕容疑は7月下旬、市民先行販売枠で購入した長岡まつり大花火大会のベンチ席チケット(3500円)を、インターネットを通じて県外在住の50代男性と20代女性にそれぞれ2枚ずつ計7万2000円で販売したとしている。井上容疑者は「転売したことに間違いない」と容疑を認めている。 長岡まつり大花火大会を実施する長岡花火財団によると、土日開催となった25年は2日間合わせて34万人分のチケットが完売した。 一方で、新型コロナウイルス禍明けの22年ごろから不正転売が増加。財団はリセールサイトを用意していたが、チケット転売サイトやフリマサイトを中心に不正な出品が相次いだ。 25年からはチケットを記名式に変更したり、マナー啓発のポスターを作製したりするなど、約2000万円をかけて対策を講じてきた。 しかし、転売サイトに出品されたケースは、財団が今年確認しただけでも約500件あり、8人1席4万8000円の升席が約20万円で出品されていた例もあったという。 長岡市の磯田達伸市長は「逮捕が不正転売行為の歯止めになることを期待している。今後、長岡花火に込められた思いを傷つけることのないよう、不正行為に毅然(きぜん)として対応していきたい」とコメントした。【戸田紗友莉】