斎藤元彦知事とPR会社を不起訴 兵庫県知事選巡る公選法違反容疑 「嫌疑不十分」と神戸地検

昨年11月の兵庫県知事選で選挙運動の報酬としてPR会社に金銭を支払った疑いがあるとして、公選法違反(買収)の疑いで告発されていた斎藤元彦知事(47)について、神戸地検は12日、不起訴処分(嫌疑不十分)とした。被買収の疑いが持たれていたPR会社社長の女性も同様とした。これを含め、県の告発文書問題を巡る告訴・告発7事件について、いずれも同日付で不起訴処分(同)とした。地検が明らかにした。 買収疑惑を巡っては、西宮市のPR会社「merchu(メルチュ)」の社長が知事選後、斎藤陣営の「広報全般を担った」とインターネット上に投稿。選挙期間中に斎藤陣営の交流サイト(SNS)を「監修者として運用」したと記載していた。 陣営からメルチュには71万5千円が支払われており、元検事の弁護士や大学教授が「選挙運動の対価に当たる」として、斎藤知事とメルチュ社長を公選法違反(買収、被買収)の疑いで告発。県警が6月、捜査結果を地検へ送付していた。 地検はメルチュ側の捜索に加え、斎藤知事らに任意の事情聴取も行い、支払いの趣旨やメルチュ側が選挙で果たした役割について捜査。その結果、71万5千円が選挙運動の報酬と認定するには「疑義がある」と判断した。ほかに金銭の支払いは確認されなかった。 社長の投稿内容について、知事の代理人弁護士は昨年11月の会見で「事実でない部分があり、盛っている」と述べ、社長が自身の役割を過大にアピールしたと主張していた。地検も「記載が全て事実であれば犯罪の嫌疑が生じる」とみて調べたが、投稿通りの事実は裏付けられなかった。 ほかに不起訴となった容疑は、プロ野球の優勝パレードを巡る知事と片山安孝元副知事の背任▽兵庫県上郡町から県に贈られた特産ワインを自宅で飲んだとする知事の背任▽知事選で稲村和美氏の支持を表明した県内22市長の公選法違反▽稲村氏後援会のX(旧ツイッター)アカウントを、虚偽通報で凍結させたとする氏名不詳者らの偽計業務妨害▽稲村氏のデマを投稿したとする公選法違反2件。 告発文書問題を巡っては、斎藤知事の疑惑を調べていた元県議で、1月に死去した竹内英明氏の名誉をデマで毀損した疑いで、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)を逮捕している。 地検は逮捕と今回の処分時期が近いことについて「別々の事件であり、関連付けていない」と説明した。

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