「餃子の王将」の運営会社社長を射殺したなどの罪に問われた暴力団幹部の裁判、男は「決して犯人ではありません」と無罪を主張です。 11月26日朝、初公判を前に最後となる公判前整理手続きに参加した、特定危険指定暴力団「工藤会」系幹部の田中幸雄被告(59)。 26日の裁判では、用意された52席の一般傍聴席に対し、地裁前には136人が抽選券を求め列を作りました。 (傍聴の抽選券に並んだ人)「事件の真相を知りたいです。どういう動機でどういう流れがあったのか見たい」 (傍聴の抽選券に並んだ人)「状況証拠しかないのが気になって。タバコしかないってどういう状況なのか」 2013年、京都市山科区にある王将フードサービスの駐車場で当時・社長だった大東隆行さん(72)が腹や胸に4発の銃弾を受け殺害されました。 (事件現場近くに住む人)「イメージ的にはパン、パンパンパンという感じですね」 大東さんは毎朝6時に出社し、会社の前を掃除することが日課で、事件はその時間帯を狙ったとみられます。 4代目社長だった大東さんは客席から厨房が見えるオープンキッチンを導入するなど、店舗改革を推し進め、経営危機に陥っていた「王将」を再建しました。 (王将フードサービス 大東隆行社長(当時))「ものすごくしんどい時期がありました。30店以上を閉めて。絶対に王将を立て直していきたい、やっていきたいと」 急展開を迎えたのは事件発生から9年後。 (京都府警 中野崇嗣刑事部長(2022年))「田中幸雄、男性1名を逮捕しました」 警察は、現場近くに残されたタバコの吸い殻から検出されたDNA型が、田中被告のものと一致したほか、大東さんの自宅周辺の防犯カメラに田中被告とみられる人物が映っていたことなどから逮捕に踏み切りました。 しかし、事件と田中被告を結びつける直接的な証拠や、背後関係はいまだ明らかになっていません。 一方で、事件の後、王将の第三者委員会は特定の企業グループと不動産の売買など「不適切な取り引き」を繰り返し、170億円の損失を出したと公表。大東さんがこうした状況を改善しようとしていたことがわかっています。 長年、工藤会の捜査にあたってきた福岡県警のOBは、田中被告は裁判で「否認・黙秘を貫くと思う」と話します。 (福岡県警OB 藪正孝さん)「自供とか、ましてや指示者を供述することもないんじゃないかと。田中被告が認めることはいわばヤクザ、暴力団としての自分の人生を否定することにもなります」 大東さんの遺族はMBSの取材に対し… (大東さんの遺族)「家族にとっては分岐点、なぜ殺されないといけなかったのか、それが一番知りたい」 そして、迎えた26日の初公判。傍聴席との間にパネルが置かれ、裁判が始まる直前までブルーシートで覆われ、中の様子がうかがえない厳戒態勢のなか始まった裁判。 紺のスーツにメガネをかけ、白いマスク姿で入廷した田中被告。裁判長から起訴内容について問われると… (田中被告)「私は決して犯人ではありません。任侠道を志すものとして、事件は到底承服できない。もういちど申します、私は決して犯人ではありません」 はっきりとした声で主張、弁護側も「犯人ではありません無罪です」と訴えました。 ここで検察側の席に座る遺族とみられる女性が「何ふざけてんねんや。何が無罪や。 お父さんを殺したんやろう」などと泣きながら声をあげ、傍聴席などからも声がやまず、裁判は、一時休廷しました。 その後、検察側は「事件現場の近くでたばこの吸い殻2本が発見され、DNA型が被告と同一だった」としたうえで、「田中被告が事件直前に組員に旅行に行くと伝え音信不通になり、知人にも京都にいる旨を発言している」などと指摘しました。 一方、弁護側は「被告は事件当日福岡県にいた可能性がある。検察側の間接的な事実はいずれも決め手になるものではない」などと主張しました。 次回の裁判は来年1月9日に行われます。