「香港火災独立調査委設置」請願上げた男性…中国、反逆容疑で逮捕

中国政府が先月29日の香港マンション火災で政府の責任糾明を要求した男性を反逆容疑で逮捕したと香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストが報道した。香港政府と中国政府は2019年のような大規模反中デモが再発しないよう災害を口実に混乱を助長しようとする反中勢力を厳罰すると強力に警告した。 香港駐在国家安全維持公署はこの日、マイルズ・クワンさんと身元が確認されていない活動家らを香港火災を懸念するグループを結成した容疑で連行したと同紙が消息筋の話として報道した。彼らは▽火災で被害を受けた住民に住居を提供し▽独立調査委員会を設置して汚職を徹底して暴くこと▽工事を監督する管理制度を用意すること▽ずさんな監督を追及し政府官僚を問責すること――の4種類を要求した。 彼らは故意扇動容疑で逮捕され、団体のインスタグラムのアカウントとリンクは遮断されたと同紙は伝えた。 国家安全維持公署がこの日報道官名義の声明を出し、「世論に逆らい被災者の悲しみを利用して政治的野心を成し遂げようとしている」と主張した。2019年に「犯罪人引き渡し法案」反対を契機に続いた大規模反中デモに再び言及し「彼らが社会分裂と対立を呼び起こし、行政長官と香港政府に対する憎しみを扇動している。『国民請願』という名目で対立を助長し社会を分裂させようとする過去の手法を繰り返す者を警戒しなければならない」とした。また「彼らの邪悪な意図と卑劣な行為は必ず道徳的非難と法的処罰を受けることになるだろう」と厳罰を警告した。 当局は政府責任論を正面から突破する考えだ。27日の記者会見で政府の責任調査の有無について李家超行政長官は即答を避け、消防と救助活動を「全面的に推進する」と強調した。 当局の警告にも3億1560万香港ドル(約63億円)に達する補修工事をめぐる腐敗疑惑はふくらんでいる。費用過多など住民の不満にもマンション団地の顧問を務める女性区議員が受注を推進したという見方がSNSなどで広がった。 7日に予定された香港立法会(議会)選挙も延期せず押し進める態勢だ。親中性向の香港大公報は先月30日、災害救護と選挙は衝突しないとし、投票は予定通りに進められるだろうという政治家の立場を伝えた。ただ台湾聯合報の香港特派員は28日、「草の根有権者を代表するマンションの火災が選挙を通じてともすれば政治的波紋を拡大しかねない」と指摘した。 一方、香港には竣工から70年以上経過した老朽建物が1100軒、30年以上60年未満の建物が2万7000軒に上るほど老齢化問題が深刻だという。これらの建物は香港の悪名高い不動産価格のため再建築とリノベーションのいずれも難航している。香港の中国返還30周年が2年後に迫る中で老朽建築物が中国と香港当局の政治的爆弾として残っていると指摘される。 先月26日に発生した香港の高層マンション火災による死亡者は30日午後5時現在146人に増えた。香港警察関係者は「行方不明者が40人以上に達する。遺体がさらに出てくるだろう」と話した。

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