東大阪市の食品輸出入会社がベトナムからコメを密輸しようとした事件で、この会社が輸入した外国産米を国内産と偽って販売していたとして、大阪府警は1日、経営者の女性ら夫婦を詐欺などの疑いで追送検したと発表した。 コメ不足で国内産の価格が高騰するのに乗じ、夫婦は産地を偽ったコメを300トン近く販売して1億円超を売り上げていたとみられる。 夫婦は食品輸出入会社「フレッチ」の経営者でベトナム国籍のチャン・ティ・トゥ・フェン被告(37)と、夫で自営業の武重智之被告(47)=いずれも東大阪市。10月にベトナムから緑豆と偽ってコメ約45トンを密輸しようとしたとして、関税法違反などの罪で逮捕・起訴されている。 追送検の容疑はベトナムにいる氏名不詳の複数人と共謀し、2025年3月下旬~9月中旬、不正に輸入した外国産米約8トンを国内産と偽って愛知や兵庫、山梨県の4店舗に販売し、約498万円をだまし取ったとしている。 府警は産地情報を偽った米トレーサビリティー法違反などについても追送検の容疑に加えた。 2人は容疑を認め、チャン被告は「日本でコメの価格が上がっていた。ベトナムでコメを安く仕入れて日本で売れば利益が出た」などと説明しているという。 府警生活環境課によると、関税法違反事件の捜査でチャン被告の会社が今年2~6月に500トン超のコメをベトナムから密輸していた疑いが浮上。書類上は全て緑豆と申告され、日本国内に持ち込まれていた。 流通経路を調べると、卸先の店舗に「日本米10キロが5800円。(外国産米との)ブレンドではない」などと持ちかけて販売していたことが確認された。 府警が専門機関に依頼して販売されたコメの産地を鑑定すると、「国内産ではない可能性が高い」との結果が出た。 被告らは全国30都府県の約300の事業者などに国内産と偽ったコメを販売していたとみられ、売り上げは約1億3000万円に上るとみられる。【井手千夏】