ドナルド・トランプ米政権は、南部ルイジアナ州最大の都市で「ジャズの故郷」とも呼ばれるニューオーリンズで、大規模な移民取り締まりを開始した。 米国土安全保障省は3日(現地時間)、ホームページに掲載した声明で「本日、ニューオーリンズで連邦法執行作戦を開始した」と発表し、「作戦の対象には、住居侵入、武装強盗、車両盗難、強姦などの容疑で逮捕された後に釈放された暴力犯罪者が含まれる」と明らかにした。 さらに同省は、犯罪を犯した不法滞在者を釈放し、米社会を危険にさらしたうえ、法執行官に命を懸けた対応を強いる状況を招いたとして、地域当局の「聖域(サンクチュアリ)政策」が今回の作戦の背景にあるとする主張を展開した。これは、連邦政府の移民拘禁政策に反対してきたことで知られる民主党のラトヤ・カントレル・ニューオーリンズ市長を意識した発言とみられている。 米国土安全保障省はまた、「怪物たちをニューオーリンズの街に放ち、さらなる犯罪と被害者を生むことを許すのは言語道断だ」と述べ、「地域当局が移民・関税執行局(ICE)の逮捕・拘禁要請を無視した」とも主張した。 そのうえで、「ルイジアナの街にいる最悪中の最悪の犯罪不法滞在者の一部」との説明を添え、ホンジュラス、ベトナム、ヨルダンなどの出身者を含む取り締まり対象10人の氏名、写真、犯罪容疑を公開した。 人口約38万4000人のニューオーリンズは、トランプ大統領による大規模な移民追放政策に関連し、民主党市長を抱える都市の中で最も最近になって標的となった都市だと、ロイター通信は報じた。 2日、トランプ大統領はニューオーリンズへの州兵投入計画を明らかにし、「(ルイジアナのジェフ・)ランドリー州知事からの要請であり、優れた州知事がニューオーリンズを助けてほしいと求めてきた」と述べた。ルイジアナ州知事は共和党所属だ。 ブルームバーグ通信は、ノースカロライナ州シャーロットをはじめ他の都市で実施された以前の取り締まりでは、犯罪歴のない多数の移民まで拘禁され、議論を呼んだと指摘した。食料品店の駐車場、商業地区、日雇い労働者の集まる場所などに要員を配置し、適正手続きに反したとの懸念も提起されたという。