「香港人加油!」香港火災の犠牲者を300人が追悼、東京で「市民の声が抑圧されている」

香港北部・大埔(だいほ)の高層住宅群で発生した大規模火災の追悼集会が6日、東京都内で開かれ、日本人や在日香港人ら約300人が黙祷をささげた。メッセージボードには「香港人加油!」(香港の皆さん、頑張ろう)などと書き込まれた。火災原因を巡っては真相究明を求める香港市民に対し、当局が封じこめを図っており、集会では香港政府の対応を問題視する声もあがった。 ■「天佑香港」 死者は3日時点で159人、行方不明者は31人に上る。 追悼集会は在日香港人の交流を図る目的で2020年に設立された「日本香港人協会」が主催した。大阪でも開かれ、約100人が訪れた。 参加者は電子キャンドルで献灯し、犠牲者の冥福を祈った。メッセージボードには「天佑香港」(香港に神のご加護を)「重大な事故に際し、香港市民の命と善意が最も尊重されてほしいと日本から願っています」などと書き込まれた。 埼玉県から訪れた日本人女性は「香港が好きで、少しでも力になれたらいいなと(思って訪れた)。何十回も香港に行き、幸い無事だったが、火事があった所にも友人が住んでいた」と涙ながらに語った。 火災は11月26日に大埔の高層住宅群「宏福苑」の1棟で発生。外壁改修工事のため組まれた足場の防護ネットから出火し、全8棟のうち7棟が焼損した。 ■香港政府は基盤安定を優先 改修工事を巡っては、親中派区議による汚職疑惑も浮上し、20年の国家安全維持法施行に伴い、議会から民主派勢力が消滅したことで「政官業の癒着」が被害を招いた可能性が指摘される。 一方、火災を巡る独立調査委員会の設置などをネット上で求めた学生ら男女3人は香港警察に扇動容疑などで逮捕されている。 追悼集会で、香港民主活動家の李伊東(アリック・リー)氏は「香港政府が責任を取る姿勢を示すどころか、真実を求める市民の声の抑圧に焦点を当てている」と指摘し、「香港政府が説明責任よりも権力基盤の安定を優先させており、非常に憂慮すべき事態だ」と訴えた。(奥原慎平)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする