農林水産省の補助金をだまし取った疑いで、旭川市の男女3人が逮捕された事件。3人が勤務する会社の元従業員が、ずさんな経営実態を証言しました。 大柳ファームの元従業員) 「本当に絶対許せないんだあいつが、ああいう人間は大嫌いだから」。 農水省の補助金をだまし取った疑いで逮捕・送検されたのは、旭川市の岡田栄悟容疑者(46歳)、大柳彰久容疑者(41歳)、麻野美穂容疑者(34歳)の3人です。 3人は去年4月、スマート農業機械の導入等に関する農水省の補助金をめぐり、農業用ドローンが納品されたように装って補助金の交付を申請し、現金882万5000円をだまし取った疑いが持たれています。 3人が勤務していたのは、旭川市で養鶏場や農場を運営する「大柳ファーム」。会社の代表は大柳容疑者でしたが… 大柳ファームの元従業員) 「除雪やってる時は岡田の顔を1回見たかな。印象はもう完全に仕切ってる印象ですよ。こうしろ、ああしろって」。 こう証言するのは、今年1月から3月まで大柳ファームで勤務していた男性です。米作りや養鶏場の管理がずさんだったと話します。 大柳ファームの元従業員) 「全てその時の岡田の計画ですよ。秋になってなんか稲刈りしてたけど半分もしてないでしょ。会社ごっこやってみんなしてそんな甘くないじゃないですか。岡田がこうやる。おそらく補助金を探してんでしょ。常日頃どうやったら補助金取れるかって。それの具体化をおそらく麻野(容疑者)がやってんだね。今回逮捕されたけどさ」。 またこの男性は、大柳容疑者から身に覚えのないことを言われ、2ヵ月分の給料が支払われなかったと話します。 大柳ファームの元従業員) 「『俺が主導して他の従業員全員と共謀して除雪機を盗んだ』と。だから『お前らの給料は払えません』と。全員の給料を払わないのを正当化しようとしてそういう企みをしたんだ、おそらく」「俺としてはね、3人もそうだけど絶対最後まで許さねえよと。取るものは絶対取るよと。1年かかっても2年かかってもいい」。 さらに別の問題も。市内の複数の農家から農地や金を借りていた大柳ファーム。2年前から農地を年間63万円で貸しているという男性は、去年の分が3分の1ほど支払われただけで、その後は支払いが滞っていると言います。 大柳ファームに土地と金を貸した男性) 「大柳彰久を信用して貸したから借用書も何も交わさなかったんだ。(大柳容疑者の)父親とも何十年も付き合ってるし、あんたを信用して金を貸すから借用書は交わさないぞと。『分かった』と言ったけどそれっきり全然。小作料の不払いは初めてで前代未聞だわ」。 金でのもめ事が尽きない大柳ファーム。補助金が狙われた今回の詐欺事件について、鈴木農水大臣は。 鈴木農水大臣) 「当省が実施いたします農業支援サービス事業者に対する補助事業において、不正の疑いがある事案が発生したということについては、誠に遺憾であります。農林水産省としては捜査に全面的に協力して参りたいと考えています」。 そんな中、新たな事実が。大柳ファームが昨年度、水田の活用に関する補助金など2件合わせておよそ500万円を農水省から受け取っていたことがわかりました。 農水省は今後、補助金が不正受給だと判明した場合は、大柳ファームに補助金の返還を求める方針です。