ノーベル平和賞マチャド氏、授賞式間に合わず 長女が代理で受賞

ノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーのオスロ市庁舎で開かれた。選出された南米ベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏(58)は欠席し、長女のアナ・コリナ・ソーサ氏が代理で賞を受け取った。ただマチャド氏は、すでにベネズエラを出てオスロに向かっている。独裁色を強める反米左派のマドゥロ政権に拘束される恐れから国内で身を隠していた。 マチャド氏はオスロに着く前に「ベネズエラ国民を代表して、私たちの民主主義と自由のための闘いに対する絶大な評価に改めて感謝する」と述べ、「到着したら、2年間会えていない家族や、闘いを支えてくれているベネズエラ、ノルウェーの人々を抱きしめることができる」と語った。フリードネス・ノーベル賞委員会委員長との通話音声が10日に公開された。 また、ノーベル研究所は10日、「マチャド氏は極めて危険な状況の中で出席を試みた。授賞式には間に合わないが、幸いなことに安全な場所におり、近くオスロに着くことが確認された」との声明を発表した。 午後1時(日本時間10日午後9時)から始まった授賞式には、米国に住むソーサ氏とマチャド氏の母親ら家族が出席した。また、マチャド氏を支持するパナマ、エクアドル、パラグアイ、アルゼンチンの中南米4カ国の首脳も参加した。 ソーサ氏はマチャド氏の演説を代読した。マドゥロ政権による弾圧に「ベネズエラの人々は屈しなかった」と強調。「民主主義こそが平和に不可欠であり、民主主義を持つためには自由のために闘う意志が必要だ」などと訴えた。 マチャド氏は授賞式に出席する意向を示し、秘密裏にベネズエラを出国した可能性が報じられていた。 ただ、ノーベル研究所のハルプビーケン所長は国営放送NRKに対し、「(マドゥロ)政権と協力者の影響力は世界各地に及び、その脅威は(マチャド氏が)国外にいる間も続いている」などとその難しさを語っていた。マチャド氏がどのようにベネズエラを脱出し、オスロに向かったのかは明らかにされていない。 マチャド氏は元国会議員。3期目のマドゥロ政権下で反体制派への弾圧が続く中、自由で公正な選挙などを求めて活動を続ける不屈の姿勢が評価され、平和賞に選ばれた。 国民的な人気を集めるマチャド氏は、2024年の大統領選で野党連合の統一候補だったが、最高裁に立候補を禁止された。代わりに元外交官のゴンサレス氏を擁立し、二人三脚の選挙戦を展開した。 大統領選では選挙管理当局がマドゥロ氏の「圧勝」を発表し、最高裁もその結果を認定したが、不正選挙の疑いがある。米国や欧州連合(EU)などはマドゥロ氏の勝利を認めていない。 大統領選後、ゴンサレス氏は扇動などの容疑で逮捕状を出され、スペインに亡命した。マチャド氏も捜査対象になっているが、国内にとどまり、ソーシャルメディアなどで発信を続けている。【ロンドン福永方人】

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