神戸市中央区のマンションで8月、会社員の女性(24)が刺殺された事件で、殺人容疑などで逮捕、送検された谷本将志容疑者(36)について、神戸地検は11日、殺人やストーカー規制法違反などの罪で起訴した。 起訴状によると、8月18日から女性の職場付近などでつきまといを続け、20日午後7時20分ごろ、女性の自宅マンションに侵入。エレベーター内で女性の胸などペティナイフ(刃渡り約12・5センチ)で刺して殺害したとしている。 谷本被告は現場から逃走し、事件から2日後の同22日、現場から約400キロ離れた東京都奥多摩町で身柄を確保された。 捜査関係者によると、谷本被告は、兵庫県警の取り調べに対し「好みのタイプの女性だと思い後をつけた」「エレベーター内で叫ばれたので刺した」などと供述。事件当日に神戸市内で凶器のナイフを購入したことも判明している。 地検は谷本被告の精神状態を調べるための鑑定留置を今月まで実施。刑事責任能力を問えると判断した。県警は鑑定留置中の11月中旬に、女性に対するストーカー規制法違反、邸宅侵入、銃刀法違反の容疑で追送検していた。 ◇ 女性の遺族は11日、代理人を通じてコメントを発表した。コメントの全文は次の通り。 本日、犯人が起訴されたとの報告を受けました。逃走した犯人を逮捕し、起訴までもってきていただいたことに、まずは御礼申し上げます。 事件により私どもの生活は一変しました。日々、平穏を取り戻したいと思いながら過ごしていますが、娘がいない日常に慣れることはありません。ふとした瞬間に寂しさや悔しさが襲ってきて涙が止まらないことがあります。 事件当初から、犯人に狙われ殺害された被害者として、娘のことが実名や直前の映像とともに大々的に報じられることも、家族にとっては耐え難いものでした。最近では、心情に寄り添ったご対応に感謝しております。 これから裁判に向けた準備が進んでいくと聞いています。裁判でどのような結果になったとしても、娘が帰ってきてくれることはなく、娘がいない日常に変わりはありません。ですが、そうであれば、せめて犯人には最大限厳しい処罰を受けてほしいというのが私どもの今の思いです。