頻脈の始まり、止まり方はさまざま でも治せます/医学博士・鵜野起久也

不整脈IQを鍛えよう<18> 頻脈の始まり、止まり方はさまざま。でも治せます。 まず心電図検診で時に指摘される徐脈と頻脈についてです。通常の心拍数は1分間に60~100回で、60回以下が徐脈、100回以上が頻脈とされます。徐脈では50回以下が病的であることが多いです。 急に脈拍が速くなる頻脈は、医学的に発作性頻拍と呼ばれ、その多くは発作性上室頻拍です。症状として、突然速い脈が始まり突然止まるのが典型的な発作です。医学生には講義でそう教えます。しかし、実際の発作性頻拍の始まり方、止まり方はさまざまなことが多いのです。 突然始まって徐々に遅くなって終わったり、突然始まるがいつの間にか止まっていたり。あるいは眠ってしまい朝には消えていたとか、だんだん速くなって始まりだんだん遅くなって止まるなど非典型的なものもあります。発作性頻拍の診断は「不整脈は現行犯逮捕が基本」ですので、頻拍発作時の心電図記録の証拠があれば診断がはっきりします。 最近ではスマートウオッチや携帯型心電計の普及により自分で見つけて病院に持ってくるケースもありますが、長時間心電図検査で確定される場合がやはり多いです。連載の3回目でも紹介しましたが、病院ではいろいろな種類の長時間心電図を使って、あの手この手で不整脈を見つけ出します。しかし頻脈発作はあるのに何としても見つからない場合、患者さんの症状をしっかりと問診して発作性頻拍が「確からしい」と判断した場合には、カテーテルアブレーション治療に踏み切ります。 この「治せる」発作性上室頻拍には、3つのカテゴリーの頻拍があります。連載の2回目で触れた心臓の刺激伝導系、いわゆる会社の経営管理部門に相当する部分の指示系統の乱れ、もしくは電気製品での配線ミスが原因で起きる不整脈で、異常部位の違いによって分類されます。

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