黎氏有罪は「香港だけでなく日本自身の問題」 民主活動家の李伊東氏「釈放働きかけを」

東京を拠点に活動する香港の民主派団体「レイディー・リバティー香港」の李伊東(アリック・リー)代表理事が国会内で講演し、香港国家安全維持法(国安法)違反罪で香港紙・蘋果日報(リンゴ日報=廃刊)創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏に下された有罪判決の不当性について「日本の議員が海外の市民社会のメンバーに会うこと自体、相手に法的リスクを取らせる可能性が出てきた」と述べ、「もはや香港や中国だけの問題ではない。日本自身の問題になっている」と指摘した。 ■「言論の結果、獄中で生き延びる瀬戸際に」 李氏は「1人の高齢者が言論の結果、獄中で生き延びられるかどうか」と述べ、78歳のジミー・ライ氏の釈放に向けた日本政府の働きかけを求めた。 「人権外交を超党派で考える議員連盟」が19日に開いた総会で語った。 香港高等法院(高裁)は15日の判決で、ジミー・ライ氏に「外国勢力との結託」によって国家安全への危害を共謀した罪(国安法違反)を認定した。国際議員連盟の調べで、判決には山尾志桜里元衆院議員が36回、ルビオ米国務長官が29回、中谷元・前防衛相が5回言及されている。 李氏は「実際、ジミー・ライ氏は日本の国会議員に会ったことも日本に直接のロビー活動を行ったこともない。それでも、(中国が国際公約した2047年までの『一国二制度』の堅持など)政治的立場が一致しただけで『共謀した』と認定された」と述べた。 ■「極めて異例で危険な前例に」 山尾、中谷両氏は、20年6月の国安法施行を巡り、海外での人権侵害行為に制裁措置を科す「人権侵害制裁法案」の制定を目指し、国会内で周庭(アグネス・チョウ)氏ら香港の民主活動家らとは意見交換した経緯がある。 李氏は、判決について「日本の議会活動が外国裁判において『犯罪構成要素』に扱われている。極めて異例で危険な前例」と述べ、日本の議会主権への間接的侵害の恐れを指摘した。 ジミー・ライ氏を巡っては20年8月に逮捕されて以降、計1800日以上拘束され、体重減少や糖尿病、心疾患が報告されている。量刑は来年1月に審理される。

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