イラン各地で物価高や通貨暴落に対する抗議デモが広がっている。治安部隊が鎮圧をはかっているが、1日には数人の死者が出たとも報じられた。衝突が拡大すれば社会が不安定化する恐れもあり、指導部は難しい対応を迫られている。 ロイター通信などによると、デモは先月28日に首都テヘランで始まり、中部イスファハンなど複数の都市に拡大した。31日から今月1日にかけては、南部ファールス州でデモ参加者が政府庁舎への侵入をはかり逮捕されたほか、西部ロルデガンなどで治安部隊とデモ隊が衝突し、双方に死者が出たという。 イランは核開発を巡り、長年にわたり欧米などの経済制裁を受けてきた。昨年9月には核開発の制限と引き換えに制裁を解除する「核合意」が崩壊し、国連安全保障理事会の対イラン制裁が全面的に復活。米ドルに対するイラン通貨リアルの価値はこの1年間でほぼ半減した。 デモの拡大を受け、ペゼシュキアン大統領は31日、「我々は国家の敵から外的圧力を受けている」と語り国内の融和を訴えた。だが、核開発を巡る米国との協議は再開の見通しが立っておらず、低迷が続く経済情勢の改善は困難な状況だ。 イランでは2022年、ヘジャブ(スカーフ)のかぶり方が不適切だとして拘束された女性が急死したことを受け、女性権利の向上などを訴えるデモが拡大し、500人以上が死亡している。【カイロ金子淳】