【AFP=時事】昨年12月28日にがんで死去したフランス映画界のレジェンドで、俳優から動物愛護活動家に転身したブリジット・バルドーさんの葬儀が7日、彼女が長年住み慣れた南仏サントロペで営まれ、多くの弔問客が参列した。バルドーさんは海辺の墓地に埋葬された。 バルドーさんを追悼する一日は、ノートルダム・ド・ラソンプシオン教会でのカトリックの礼拝で幕を開けた。そこではバルドーさんの息子が、彼女の珍しい枝編み細工のひつぎを迎えた。 映画『素直な悪女』で知られるバルドーさんが有名にしたサントロペのマリーナの前に設置された巨大スクリーンには、何百人もの人々がペットを連れて集まった。 1950年代後半から60年代にかけて活躍したバルドーさんのひつぎは、白い霊柩車に乗せられ、地中海沿いにある家族の墓地へと運ばれ、薄暗い冬の日差しの中、身内や親しい人たちによって埋葬された。 ピレネー山脈から数時間かけて弔問に訪れた学校アシスタントのサンドリンさん(60)はAFPの取材に対し、「とりわけ印象に残っているのは、彼女が動物のために尽くしてくれたことだ。本当に感受性豊かな人だった」「少しばかり人種差別的なところもあったが、決して悪意だけがあったわけではない」と語った。 サンドリンさんは、もっと大勢の人が集まると思っていたと語り、バルドーさんの政治的見解や信念が人種的憎悪をあおると批判されていることから、参列を控えた人もいたのではないかとの見方を示した。 ■「簡素」なイベント 教会礼拝には、バルドーさんの最もよく知られた活動――ヌーヴェル・ヴァーグのフランス映画全盛期、動物愛護活動、そして極右政治――すべてが反映され、動物虐待に反対する動物愛護活動家や仏俳優ジャン=ポール・ベルモンドさんの息子、そしてフランスの極右指導者マリーヌ・ルペン氏らが参列した。 主催者が「簡素なもの」にすると約束していたイベントに招待された400人の中には、日本が逮捕状を出している反捕鯨団体「シー・シェパード」の創設者、ポール・ワトソン容疑者の姿もあった。 ワトソン容疑者はAFPに対し、「ブリジットは50年来の友人だった」「カナダのアザラシ漁を阻止するための活動など、世界中の動物愛護活動へ多大な貢献をたたえるために参列した」と語った。 ワトソン容疑者をはじめとする参列者は、愛犬と共にほほえむバルドーさんの写真の前を通って教会に入っていった。説教壇の近くと礼拝冊子の表紙には、バルドーさんが子アザラシを抱きしめる有名な写真が飾られていた。 バルドーさんは1973年、名声の絶頂期に映画界を引退し、サントロペに居を構えた。そこで闘牛、狩猟、アザラシの食肉処理、馬肉の消費に強く反対する運動を展開した。これらの活動すべてが、7日のイベントで取り上げられた。 ■物議を醸す フランスで最も有名な人物の一人であるバルドーさんの国家による追悼式典が行われなかったこと、そしてその死に対する国民の反応がさまざまだったことは、彼女の物議を醸す性格と、多くの議論を呼んだ遺産を反映している。 バルドーさんが映画界のレジェンドであり、その演技と大胆で型破りな人格を通して、フランスが華やかで流行の最先端をいっていた1960年代と女性の解放を体現した人物であったという点では多くの評論家の意見が一致している。 だが、バルドーさんが特にイスラム教徒に対する人種差別的ヘイトスピーチで5度の有罪判決を受けたことから、左派には控えめな追悼の言葉を述べるにとどめる人が多く、中には追悼の言葉さえ一切口にしない人もいる。 フランス大統領府は、2021年にヌーヴェル・ヴァーグの英雄ベルモンドさんのために行われたものと同様の国家追悼式典の開催を提案したが、バルドーさんの遺族が固辞した。 エマニュエル・マクロン大統領は7日の葬儀には出席しなかったが、供花を贈った。【翻訳編集】 AFPBB News