成人の日の1月12日、全国の自治体では20歳を祝う式典が開かれた。このうち北九州市の新成人に人気のド派手な衣装は、ニューヨークのランウェイにも登場するなど毎年話題だ。「ヤンキー文化」が注目を集めるのはなぜか。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「喧嘩上等で暴力とセットだった『ヤンキー文化』が、危うさから遠くなっているからではないか」という――。 ■日本の「ヤンキー」が世界を席巻するワケ ネットフリックスで配信中の恋愛リアリティーショー「ラヴ上等」が年末年始にかけて話題になっている。公開直後には、非英語のシリーズでは世界ランキング8位、翌週も9位につけるなど日本以外でも注目されている。 なぜヒットしたのか。noteプロデューサーの徳力基彦氏は、「実は日本の『ヤンキー文化』も、日本しか生み出せない日本ならではのコンテンツであることが、今回『ラヴ上等』のヒットによって証明されたとも言えます」とYahoo!ニュースに寄稿している(〈なぜ「ラヴ上等」は海外でも話題なのか。日本のヤンキー文化に秘められた可能性〉2025年12月26日配信)。 徳力氏の記事のサムネイルにも引用されている「水はヤベェだろ」は、エピソード4のタイトルでもある強い台詞である。全部で10あるエピソードのうち、この台詞までが前半の、というよりも、全体の山場であり、視聴者を掴んで離さない。後半は正直やや緊迫の度合いが落ちたように映るものの、それでも、「ヤンキー」の男女による恋リア、は、ありそでなかった発想であり、あらためて見返しても発見が多い。 ■好きも嫌いも「喜怒哀楽」を全部出す ただ、ここでは「ラヴ上等」がなぜはやったのか、とか、どこがおもしろいのか、といった作品論ではなく、徳力氏の記事にある「日本の『ヤンキー文化』」そのものを考えたい。 なぜなら、「ラヴ上等」は、徳力氏のような外からの分析だけではなく、企画・プロデュースを務めたタレントのMEGUMI氏みずからによっても、すでにたくさん語られているからである。 たとえば、「ラヴ上等」のスタジオメンバーで芸人の永野氏との対談で、MEGUMI氏は「ヤンキーの子たちは、好きも嫌いも喜怒哀楽の感情を全部出して、それを世の中に投下する。恋愛を通じてそれを表現するというのは今、必要なことではないかなと思い、この企画を立ち上げました」と、この企画意図を語っている(〈MEGUMI × 永野が語るNetflix「ラヴ上等」 恋愛離れの時代に届けるヤンキーの“本気”と“覚悟”のリアリティーショー〉WWDJAPAN、2025年12月13日配信)。 当事者から、これでもか、と種明かしがされている以上、屋上屋を架すのではなく、なぜ、私たちは「ヤンキー」が好きなのか、を考えたい。その格好の事例が、「ラヴ上等」と同じく、この年末年始にあったからである。それは何か。