金融業者から融資金7億円をだまし取ったなどとして、警視庁は13日、鉄鋼商社「伊藤忠丸紅住商テクノスチール」(テクノ社、東京都千代田区)元土木建材部長、桜井宏至容疑者(57)=東京都港区=ら男2人を詐欺などの疑いで逮捕し、発表した。いずれの認否も明らかにしていない。 他に逮捕されたのは、職業不詳の瀬戸智範容疑者(73)=千葉市。捜査2課などによると、2人は共謀して2021年12月~22年3月、金融業者「クラウドバンク・フィナンシャルサービス(CF社)」側に「テクノ社が連帯保証する」などとうそを言い、偽造したテクノ社の委任状を提示。再生可能エネルギー事業者が進めるバイオマス発電所の事業資金名目で融資金7億円をだまし取るなどした疑いがある。桜井容疑者はテクノ社に在籍しながら、この事業者の実質的な経営者を務めていた。 2人は逮捕容疑を含め計10億円をだまし取ったといい、警視庁は、多くを私的に使った可能性があるとみている。 ■偽造の印鑑作り、委任状に使ったか 捜査関係者によると、2人はテクノ社本社応接室などで金融業者のCF社側と面談し、瀬戸容疑者がテクノ社取締役になりすまして偽の名刺を示していた。桜井容疑者は22年2月、ネット上で見つけた印鑑の偽造業者に、JR東京駅付近のカフェで接触。テクノ社代表取締役の偽の印鑑を作ってもらい、委任状の偽造に使った、と警視庁はみている。 CF社は投資家から集めた資金を企業に貸す「ソーシャルレンディング」を展開していた。 逮捕を受け、テクノ社は「関係者にはご迷惑とご心配をおかけし誠に恐れ入る」とするコメントをホームページで発表した。 桜井容疑者は1991年に総合商社の丸紅に入社し、2004年に伊藤忠丸紅鉄鋼に転籍。18年からテクノ社に出向していた。信用調査会社によると、テクノ社は伊藤忠商事、丸紅、住友商事の大手商社3社の傘下にある。テクノ社は23年、事件に関連して「連帯保証契約を締結した事実は一切ない」と、ホームページで公表していた。(三井新、西岡矩毅)