イランの抗議デモが全土に拡大、体制崩壊につながる可能性も

イランでの抗議行動は現在、国内の185都市以上、全31州に広がっている。デモは一部では数万人規模に膨れ上がっており、「独裁者に死を」「ハメネイに死を」「今年は血の年、ハメネイは打倒される」などとシュプレヒコールを上げている。世界各地の在外イラン人も連帯を示すためにデモを行っている。 抗議行動自体はイランで珍しいことではない。過去にも、アヤトラ(イスラム教シーア派十二イマーム派の高位聖職者、あるいはハメネイその人)の体制の終焉につながりそうに思えたデモが起こっている。2009年には、大統領選で現職のマフムード・アフマディネジャド大統領が再選された際、開票作業で明らかに不正があったとして大規模な抗議デモが発生した。政権側は弾圧で応じ、デモ参加者数百人を殺害し、4000人以上を逮捕した。 2022年には、22歳の学生マフサ・アミニが、ヒジャブの着用が不適切だったとして道徳警察に逮捕され、拘束下で死亡したことに対して抗議行動が広がった。厳格に押しつけられる伝統に従った生活を強いられる警察国家にうんざりした女性たちが、抗議デモの最前線に立った。デモは、コムやマシュハドのような宗教や保守色の強い都市にまで広がった。だが、体制側は譲歩を示したり改革を検討したりするどころか、再び実力を行使し、500人以上を殺害、1万9000人以上を拘束した。 昨年12月29日に始まった今回の抗議行動はイラン国民にとって、真の変化を推し進める最大の機会かもしれない。難題に直面していることを察した体制側は、抗議者たちや彼らの目的について疑念や混乱の種をまこうとしている。抗議運動内に分断を生むために、王政復古のシュプレヒコールを上げる工作員が送り込まれており、これはシャー(王)の時代に抑圧された少数派勢力のデモ参加意欲を削ぎかねない。また、国営テレビは倉庫に保管された遺体とされる映像を流し、体制に歯向かう人々に対して冷酷な警告を発している。 体制側は今回もいつもの対処法に訴え、反体制派は2週間ほどで3000人超が殺害されたと主張している。ただしイラン国内では、体制側に立ち向かうための準備をこれまでより整えた「抵抗ユニット」という組織も形成されている。インターネットの遮断が続くなかでも、抗議者たちは抵抗を続けている。

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