「正規の仕事してない」家賃11カ月分未納か 強制執行中に2人殺傷

東京都杉並区で立ち退きの強制執行中に執行官ら2人が刺されて死傷した事件で、殺人未遂容疑で逮捕された住人の職業不詳、山本宏容疑者(40)が、2025年7月までに家賃を40万円以上滞納していたことが、捜査関係者への取材で判明した。この滞納が退去命令につながったとみられ、「金もなく、自暴自棄になった」と供述していることから、警視庁は生活の困窮が背景にあるとみている。 捜査関係者によると、山本容疑者は「新型コロナ禍以降、正規の仕事はしていない」と供述。ここ数年は宅配のアルバイトで生計を立てていたと説明している。また事件当日について「火をつけて死のうと思ったが、煙に耐えられなかった」と話しているという。 25年8月には滞納を理由に退去と支払いを求めて大家から提訴された。訴状によると、家賃は月5万5000円で、24年5月以降の計11カ月分が未納だったとされる。25年10月には退去を命じる判決が出ており、強制執行はこれに伴う措置だったとみられる。 事件は15日に杉並区和泉2で発生。部屋の明け渡しを求めて訪ねた執行官ら10人のうち、家賃保証会社の社員、小栗寿晃さん(61)=神奈川県海老名市東柏ケ谷3=と執行官の60代男性が山本容疑者に包丁で刺されたという。 小栗さんは立ち退きの説得や家具の処分作業のため立ち会いに来ていた。外の路上で待機しているところを襲われたとみられ、病院で死亡が確認された。 小栗さん宅の近くに住む女性(76)は「高齢の私たち夫婦を気遣う優しい方で、いつもニコニコしていた。まさかという思いです」と悼んだ。 また最高裁は16日、現場で不測の事態が生じた場合に「執行官および関係者の安全の確保を最優先に行動することが重要だ」とする事務連絡を全国の地裁に出した。【菅健吾、朝比奈由佳】

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