1月23日、外資系生命保険大手のプルデンシャル生命保険は、社員100人超が約500人の顧客から計約31億円を騙し取った不祥事に関する記者会見を行った。東北大学特任教授で人事・経営コンサルタントの増沢隆太さんは「個人の犯罪にすり替えようとする姿勢こそが、組織の歪みを露呈させている」という――。 ■会見から見えたプルデンシャルの組織の歪み 1月23日に東京都内で行われた、外資系生命保険大手のプルデンシャル生命保険元社員らによる不適切行為に関する記者会見。プルデンシャル生命保険の間原寛社長兼最高経営責任者(CEO)ら経営陣と、その親会社であるプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンのハーン社長兼CEOも交えて粛々と始まりました。 企業不祥事会見といえば、昨年行われたフジテレビによる10時間超のロングラン会見や、大混乱の末に会社消滅に至った中古車販売大手のビッグモーターなどが記憶に新しいですが、今回の不祥事もそれらに比肩するほど、マスコミの注目を集めた重大なものといえます。 会見自体は2時間を超える長丁場になったものの、ほとんど紛糾することなく、粛々と進みました。質疑応答でも明らかになりましたが、同社はこの会見を日銀記者クラブを対象として開催したものだったのです。 ■これで「幕引き」とはならない 記者クラブ所属ではない参加者は、「後部席に配置され、質疑もあくまで記者クラブのために行う」と、司会から再三説明がありました。(2026年1月23日、ABEMA NEWS) 質問の内容も緩いものが多く、また回答をはぐらかす経営陣への追及も甘く、この日の会見は、厳しい糾弾や鋭い質疑がそもそも起きにくい「設定」だったと見るべきです。 記者クラブ会員からも、この席配置や設定に対する疑問が投げかけられていましたが、クラブ外の参加者には、「後ほど主催側担当者が回答する」という説明で押し切っていました。 注目の会見を乗り切ったと言うことで、プルデンシャル事件はこれで幕引きとなるでしょうか。私は会見を冒頭から最後までリアルタイムで視聴しましたが、幕引きどころか、むしろ歪んだ組織構造やコンプライアンスへの疑義を増したのではないかと感じました。