【ロンドン=黒瀬悦成】チャールズ英国王の弟、アンドルー元王子(66)が公務上の不正行為をした疑いで英警察に逮捕された事件で、国王は19日、「法的な決着が必要だ」として捜査に全面協力するとの声明を発表した。ただ、英国内では、王室が元王子の行状を知りながら看過していた疑いがあり、王室の存続が問われる事態に発展しかねないとの見方も出始めた。 ■家宅捜索など行い釈放 英警察は19日夜、同日逮捕した元王子を釈放したと発表した。関係先の家宅捜索を終えたとしており、捜査は継続する。国王は同日、「法的な決着が必要だ」として捜査に全面協力するとの声明を発表した。 英BBC放送によると、知能犯罪の容疑者は家宅捜索や初期的な事情聴取が終わると釈放されるのが通例。後日、再び事情聴取が行われる可能性もある。 元王子が不正行為を疑われているのは、王室の公務で英政府の貿易特使を務めていた2010~11年頃。アフガニスタンの金とウランに関する投資情報や、中国、東南アジアを訪問した際の報告をエプスタイン氏に漏らした疑いがある。 国王は19日の声明で「極めて深刻な懸念を抱いている」とし、「捜査は適切だ。私たちは当局を全面的に支持し、協力する。法的な決着が必要だ」と強調した。 元王子は11年、エプスタイン氏との関係を批判されて貿易特使を辞任した。14年には、エプスタイン氏から紹介された17歳の未成年女性に性的虐待をした疑いが浮上。女性は元王子を訴え、22年に和解したが25年4月に自殺した。 ■「王室廃止は良くない」37% 王室は、エプスタイン氏との親交や性的虐待の実態が明るみに出るにつれ、時間をかけて元王子と距離を置き、王室からの切り離しを図ってきた。 20年11月、王室は元王子に全ての公務から手を引かせた。元王子は22年、軍の名誉職と慈善団体などの後援者の役職を返上。25年10月には王子の称号や「ヨーク公」の爵位を剝奪され、ロンドン近郊ウィンザー城敷地内の邸宅から東部ノーフォーク州サンドリンガムへの転居を命じられた。 今年1月末には、米司法省が公表したエプスタイン氏関連の捜査資料の中から不適切な写真や、今回の逮捕につながる関連書類が見つかった。国王は今月9日、「警察に協力する用意がある」と表明し、元王子に引導を渡した。