42年前、滋賀県日野町で酒店店主の女性が殺害され、金庫が奪われた「日野町事件」。強盗殺人の罪で無期懲役が確定した男性は無罪を訴えたまま獄中で死亡し、遺族が再審=裁判のやり直しを求め、最高裁は24日、男性について再審を開始することを決定しました。 ▼裁判で一貫して無罪主張も・・・無期懲役の確定囚の死後、再審認められたのは戦後初 1984年の年末、滋賀県日野町で酒店店主の女性が殺害され、店にあった手提げ金庫が無くなりました。事件から3年以上経ち、強盗殺人容疑で店の常連客だった阪原弘さんを逮捕。阪原さんは裁判で一貫して「虚偽の自白をさせられた」と無罪を主張していましたが、2000年に阪原さんの無期懲役判決が確定しました。 阪原さんは、再審=裁判のやり直しを求めましたが、2006年に大津地裁は再審請求を棄却。大阪高裁で争っている最中の2011年に阪原さんは病死しました。 阪原さんの妻や息子らは、2012年、2度目の再審を求め、2018年に大津地裁が、2023年に大阪高裁が再審開始を決定したものの、検察側が特別抗告し、最高裁で争われていました。 無期懲役以上の判決が確定した元受刑者について、死後に再審が認められたのは戦後初めてです。 ▼再審開始の決め手の1つは“ネガフィルム” 「事実認定に合理的な疑い」大阪高裁が示した135ページの決定 2023年に大阪高裁が出した、135ページに及ぶ「決定」。この中で、再審開始を決めた理由の1つとして大阪高裁が挙げたのが、阪原さんを死体遺棄現場や金庫の投棄現場に引き合わせて捜査した際に撮られた写真の「ネガフィルム」でした。 阪原さんを有罪とした判決(確定判決)の中で、当時の大津地裁は、金庫と遺体が見つかった場所に阪原さんが捜査員を“自ら案内した”と判断し、その捜査の様子を収めた写真が貼られた「捜査報告書」を根拠としました。 しかし、再審を開くかどうか検討する中で、検察が写真の「ネガフィルム」を提出。すると、一部の写真は、金庫の発見現場から帰るときに撮影されていたにもかかわらず、行きのふりをして撮影されたものであったほか、死体の発見現場まで案内する捜査では、人形を使う場面と使わない場面を交互に繰り返し、報告書には阪原さんが人形を持った状態の写真だけが使われていたことが判明。 大阪高裁は、捜査報告書の「信用性は直ちに認めがたいことになる」とし、「確定判決の事実認定には合理的な疑いが生じた」と指摘しました。