JPMorgan、暗号資産投資詐欺疑惑を巡り集団訴訟に直面

米金融大手JPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)が、暗号資産(仮想通貨)関連の投資スキームを巡る集団訴訟に直面している。原告となった投資家らは、同行が「明白な警告サイン」を見逃し、結果として約3億2800万ドル(約508億円、1ドル=155円換算)規模の暗号資産ポンジ・スキームを支える銀行インフラを提供したと主張している。 訴訟は米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提起された。投資家らは、Goliath Ventures(ゴリアテ・ベンチャーズ)と呼ばれる暗号資産投資プールに関わる詐欺の被害者だとしており、2000人以上が影響を受けたとされる。 「唯一の銀行」として資金管理 訴状によると、JPモルガンは2023年1月から2025年5月または6月までの間、ゴリアテ・ベンチャーズの唯一の銀行として機能していたという。銀行口座を通じて投資家資金の入金処理や送金、支払いが行われ、この仕組みが「正当な利益が発生しているかのような外観」を作り出したと原告側は主張している。 銀行記録によれば、この期間にゴリアテ・ベンチャーズのJPモルガン口座には約2億5300万ドルが入金された。 そのうち約1億2300万ドルが暗号資産取引所Coinbase(コインベース)のウォレットに送金され、さらに約5000万ドルが投資家への配当として支払われたとされる。 しかし原告側は、この配当は実際の投資利益ではなく、新規投資家からの資金を既存投資家へ支払う典型的なポンジ・スキームの仕組みだったと主張している。 この疑惑に関連し、ゴリアテ・ベンチャーズのCEOとされるChristopher Delgado(クリストファー・デルガド)氏は2月24日、米当局によって逮捕された。容疑は通信詐欺およびマネーロンダリングで、刑事事件は現在も進行中だ。 ゴリアテ・ベンチャーズは投資家に対し、「共同ベンチャー契約」と呼ばれる形で暗号資産トレーディングや裁定取引による利益を約束していたとされる。しかし検察は、実際には新規投資資金を既存投資家への支払いに回す仕組みだったと指摘している。 投資家の損失と訴訟の内容 訴訟の原告であるカリフォルニア州在住のRobby Alan Steele(ロビー・アラン・スティール)氏は、このスキームで65万ドルを失ったと主張している。内訳は現金31万ドルに加え、401(k)退職口座から税金を支払って引き出した34万ドルだという。 原告側はJPモルガンに対し、以下の責任を問う5つの請求を提起している。 さらに、銀行が得た手数料などの返還、損害賠償、その他の救済措置を求めている。 訴状では、銀行のマネーロンダリング対策システムが検知すべきだった複数の不審な取引パターンが指摘されている。 具体的には以下のような点が挙げられている。 米国の銀行規制では、こうした疑わしい取引が検知された場合、金融機関は顧客のデューデリジェンスを実施し、必要に応じて疑わしい活動報告(SAR)を提出する義務がある。 訴状は「この規模の詐欺が単一銀行を通じて秘密裏に運営されることはあり得ない」と指摘し、銀行が詐欺を認識していたか、少なくとも認識できたはずだと主張している。 訴状では、JPモルガンのJamie Dimon(ジェイミー・ダイモン)CEOが過去に暗号資産を批判してきた発言も取り上げられている。ダイモン氏は2017年にビットコインを「詐欺」と呼び、2024年の世界経済フォーラムでは「ペットロック(価値のない石)」と表現したことがある。 原告側は、こうした発言にもかかわらず銀行がゴリアテ・ベンチャーズの口座を継続的に運用し、投資資金の混在や送金を許していたと指摘している。 訴訟は現在、集団訴訟としての認定を求める段階にあり、今後の審理の進展が注目される。 暗号資産市場の拡大に伴い、銀行や金融機関がどこまで顧客の活動に責任を負うのかという問題は、今後の金融規制や司法判断にも影響を与える可能性がある。 |文・編集:Shoko Galaviz|画像:Shutterstock

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