小学館より福井県より悪質…性暴力の被害女性が告発しても第三者委員会を設置しない自浄能力ゼロの「伏魔殿」

企業や官庁などの大組織でたびたび発覚する性加害事件。大阪地検元検事正に性加害された女性検事が2026年3月2日に会見を行った。会見に出席したジャーナリストの柴田優呼さんは「告発して2年、第三者委員会さえ作らない検察を相手に被害女性がギリギリまで追い詰められていることがうかがえた」という――。 ■大阪地検トップが部下を襲った 大阪地検のトップだった北川健太郎元検事正が準強制性交罪で起訴された事件で、被害者で検事のひかり氏(匿名)が3月2日会見を開き、検察内部で自分が受けたような犯罪被害やハラスメント被害が起きないよう、第三者委員会を作って実態調査を行い、職場の安全を確保することを、平口洋法務相と畝本直美検事総長に要望した。 【関連記事】「私の声まで奪うのか」大阪地検元トップの性加害を訴えた女性検事に「口止め」した検察の卑怯な「隠蔽工作」 ひかり氏が被害申告をしてから2年。何度も検察幹部相手に繰り返してきた要望で、組織のコンプライアンスとしては当然のことだ。今年に入ってからも福井県や横浜市、小学館、ここ数年でも兵庫県やフジテレビ、ジャニーズ事務所、防衛省、全国の自治体や教育機関など様々な組織で第三者委員会を立ち上げ、ハラスメント等の調査結果を発表し、社会への説明責任を果たすことが常態化している。 「他の公共団体や企業でしていることが、なぜ検察にはできないのか」「絶望的な2年間だった」とひかり氏は訴える。今月末までに実行されなかったら辞職する覚悟で、自死を考えるほど追い詰められているという。なぜここまで深刻な事態になっているのか。現職知事が女性職員へのセクシュアルハラスメントをして辞任した福井県や、自衛隊員だった五ノ井里奈氏が同僚から受けた性暴力を告発した防衛省と比べると、自らのキャリアと人生をかけて訴えている被害者の女性検事に対して、あまりにも冷淡な検察の姿が目立つ。 ■検察はなぜ第三者委員会を作らないのか 同じトップによる不祥事でも、福井県の場合9カ月で、通報から第三者委員会の調査報告書発表まで行き着いた。2025年4月、県の公益通報の外部窓口が「杉本達治知事が公務員倫理とハラスメント防止に関する法令に違反するLINEメッセージを職員に送っている」との通報を受けた。5月から8月、人事課が通報者、知事、関係者に聞き取りをし、9月、弁護士3人に特別調査委員を依頼。10月から11月、委員が全職員6000人にアンケート調査を実施。詳細な聞き取りをした後2026年1月、調査報告書を公表した。 しかし、そもそも検察庁には福井県のように、外部の公益通報窓口はない。ひかり氏も北川被告の被害申告をしたのは上司を通じてだった。しかし「上司が加害者とつながっている可能性もあるため、報復人事や人間関係の悪化を恐れて、被害を訴えられない人も多いと思う」と話す。実際、福井県でも、通報者は上司や知人の職員にも相談していたが、人事課に情報は共有されず、また通報者が内部窓口の一つである県人事委員会に相談した時も、適切な対応がされていなかった。

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